2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540279
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
青木 一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80325589)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / 標準模型 / 自然さ問題・階層性問題 / 暗黒エネルギー・宇宙項 |
Research Abstract |
素粒子物理では標準模型が実験結果とよく合い、確実になってきた。一方、より究極的な理論として、超弦理論が期待されているが、多くの真空を比較することができず、予言力がないという問題を抱えている。しかし、超弦理論の非摂動的定式化の候補である行列模型では、ダイナミクスの解析により、弦理論の真空を比較することが可能である。 昨年度、行列模型が磁束を持つトーラスにコンパクト化された状況を調べ、標準模型を与える行列の配位を見つけ、さらに、行列模型の半古典的解析を行い、標準模型の出現確率を評価した。これをさらに発展させ、パティ・サラム模型を含む、様々な現象論的模型を系統的に調べ尽し、それらの出現確率も評価した。この論文が今年度掲載されたので研究発表の欄に記入する。 さらに、これとT双対な交差Dブレーンの状況に似た、交差するファジー球面を考えた。行列模型の余剰6次元空間で2次元と4次元の球面が点で交差した状況を考え、標準模型のゲージ群、物質、世代数などを得られることを示した。 標準模型を超えた物理を探索するには、いわゆる自然さ問題が重要になってくる。輻射補正を含めて、ヒッグス質量や宇宙項を観測値に保つことをいかに自然に説明するかという問題である。今年度は、インフレーション期、輻射優勢期、物質優勢期と続く宇宙論的背景時空の中で生成された真空エネルギーが現在の宇宙項・暗黒エネルギーを説明できるか調べた。これら2つの論文は投稿中のため、研究発表の欄には記入しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度に続き磁束をもつトーラスへのコンパクト化の解析を進めるとともに、交差するファジー球面という別の状況も研究した。最終的には、行列模型のあらゆる配位を調べたいので、このような研究を進めていく必要がある。 また、現象論的研究を進めるにあたり、場の理論、弦理論、行列模型のどの定式化で研究するにせよ、ヒッグス質量や宇宙項など、いわゆる自然さ問題が重要になってくる。今年度は、宇宙項問題を曲がった空間での場の理論の枠組みで調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も行列模型における現象論的研究を推進する。24年度、25年度に続き、様々なコンパクト化の状況を考え、現象論的解析を遂行していく。 また、ヒッグス場に関する研究を進めたい。今までの研究から、ゲージ場やフェルミオン場とともに、ヒッグス場の候補の行列への埋め込みはわかってきた。しかし、いわゆる自然さ・階層性問題が問題となり、質量を軽く保つことが困難である。この問題に何らかの答えを与えたい。また、電弱対称性の破れや湯川結合定数の値なども調べたい。 また、アノマリー相殺も重要な問題である。行列模型に現象論的模型を埋め込むと、一般に余計なU(1)ゲージ場が現れ、アノマリーを持つ。弦理論では、いわゆるグリーン・シュワルツ機構によりアノマリーが相殺するが、行列模型でそれがいかに実現されるか検討する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が若干残ったので、次年度に繰り越す。 旅費などで予定額をほぼ使用しようと思う。
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Research Products
(4 results)