2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540279
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
青木 一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80325589)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / 標準模型 / 自然さ問題・階層性問題 / 暗黒エネルギー・宇宙項 |
Outline of Annual Research Achievements |
素粒子物理では、標準模型が実験結果とよく合い確実なものとなってきた。一方、より究極的な理論として超弦理論が期待されており、そこから標準模型などの現象論的模型を導出する研究がさかんになされている。さらに、超弦理論の非摂動的定式化の候補である行列模型では、弦理論の真空を比較し、どの真空が実現されるかを調べることが原理的には可能である。 弦理論では、交差するDブレーンを考えれば、その交差点でカイラル・フェルミオンが現れ、標準模型の物質要素が得られることが知られている。そこで、その状況に似た、交差するファジー球面を行列模型で考えた。行列模型の余剰6次元空間に2次元と4次元の球面を導入し、それらが点で交差する状況を考え、そのような行列配位により、標準模型のゲージ群、物質場、世代数などが得られることを示した。 弦理論や行列模型から標準模型を説明する上で、階層性問題・自然さ問題が重要になる。輻射補正を含めて、ヒッグスの質量や宇宙項の値をいかに観測値に保つかという問題である。この問題はまた、標準模型を超える現象論的模型を探索する上でも重要な鍵を与える。昨年度、今年度は、宇宙項、もしくは暗黒エネルギーを真空エネルギーとして解釈できないかという問題を検討した。インフレーション期に生成された場の量子ゆらぎが、輻射優勢期、物質優勢期と続く宇宙論的背景時空の中で凍結し、現在まで残り、現在の宇宙項・暗黒エネルギーを説明できるかどうか調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁束を持つトーラスや交差するファジー球面などの状況を行列模型で解析し、標準模型などの現象論的模型が得られるか調べている。最終的には、行列模型のあらゆる配位を調べたいので、このような研究を進めていく必要がある。 弦理論や行列模型から標準模型を導出するにせよ、標準模型を超える現象論的模型の探索をするにせよ、ヒッグスの質量や宇宙項の値をいかに説明するかという、いわゆる自然さ問題が重要になってくる。今年度は、宇宙項の値を曲がった空間での場の理論の枠組みで調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も行列模型における現象論的研究を推進する。24年度、25年度、26年度に続き、様々なコンパクト化の状況を考え、現象論的解析を遂行していく。 また、ヒッグス場に関する研究を進めたい。今までの研究から、ゲージ場やフェルミオン場とともに、ヒッグス場の候補の行列への埋め込みはわかってきた。しかし、いわゆる自然さ・階層性問題が問題となり、質量を軽く保つことが困難である。この問題に何らかの答えを与えたい。また、電弱対称性の破れの機構や湯川結合定数の値なども調べたい。
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Causes of Carryover |
26年度は残額があり、27年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度は、旅費などによりほぼ予定額を使用したいと思う。
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Research Products
(4 results)