2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲージ・ヒッグス統一模型におけるフレーバー物理の研究
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24540283
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丸 信人 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40448163)
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Keywords | 高次元理論 / ゲージ・ヒッグス / レプトンフレーバーの破れ |
Research Abstract |
おととしのヒッグス粒子発見を受けて、昨年度の研究もゲージ・ヒッグス統一模型におけるヒッグス粒子の物理に関する研究を優先した。 1つ目はLHCコライダー物理で、グルーオン融合主過程で生成されたヒッグス粒子が2つの光子、または2つのZボソンに崩壊する実験データ、ヒッグス粒子の質量を説明するためには最小模型に新たにフェルミオンを導入する必要がある。その1つの可能性として、カラー電荷をもつ新フェルミオンを導入して前述のデータを説明し、このフェルミオンがLHCで検出可能であることを示した。 2つ目は、ヒッグス粒子がZボソンと光子に崩壊する過程に関する研究で、ゲージ・ヒッグス統一模型において古典レベルではこの過程の予言は標準模型と一致することを示した。この予言は模型に依らず理論の対称性だけから決まり、他の標準模型を越える物理には見られない顕著な性質である。これからの実験において他の模型との峻別に重要な情報になる。 3つ目はヒッグス粒子の質量に関する研究で、5次元ゲージ・ヒッグス統一模型ではヒッグス粒子の質量が観測値に比べて小さくなる傾向があるが、6次元以上の模型ではヒッグス質量がWボソンの2倍と予言され重くなる。この関係に対する量子補正が有限になることが演算子の議論から推測され、実際におもちゃの模型でヒッグス4点自己相互作用とWボソン質量に対する1ループ量子補正を計算して示した。 4つ目は遅れていたゲージ・ヒッグス統一模型におけるレプトンフレーバーの破れの研究を進めた。従来の研究計画であるカルツァクラインZおよび光子交換によるμ→3e崩壊、原子核内におけるμ-e変換過程の計算が終了し、現在論文を執筆中である。レプトンセクターは、クォークセクターに比べフレーバー混合が大きいので、これらの過程から模型パラメタに強い制限が得られると予想していたが、結果は予想に反してそれほど強い制限にならなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要でも述べたようにおととしのヒッグス粒子発見を受けて、ヒッグス粒子の物理研究を最優先したため。古典レベルで生じるレプトンフレーバーの破れに関する計算は一通り終了し、現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、レプトンフレーバーの破れの過程の最後の過程μ→e+光子の計算に取りかかる予定である。
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Research Products
(3 results)