2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
辻川 信二 東京理科大学, 理学部, 准教授 (30318802)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 暗黒エネルギー / インフレーション / 密度揺らぎ / 宇宙背景輻射 / 修正重力理論 / 再加熱 / クインテッセンス / 非ガウス性 |
Research Abstract |
最も一般的なスカラーテンソル理論に基づくインフレーションシナリオにおいて,生成される曲率揺らぎの非ガウス性とその形状に関して明らかにした.この結果は,どのような非ガウス性の形状に対しても用いることができる,非常に一般的な結果である.その成果を,スカラー場の微分項が重力と結合している模型に応用し,宇宙背景輻射(CMB)の温度揺らぎの観測データから,模型に制限をつけた.さらに,ガリレオン重力理論に基づくインフレーション模型の有効性を,再加熱期の揺らぎの進化も含めて明らかにし,有効なパラメータ領域に制限をつけた.また,超重力理論に基づくF(R)インフレーション模型を構築し,再加熱期にpreheatingと呼ばれる共鳴的な粒子生成が起こることを明らかにした. また,暗黒エネルギーの候補として,スカラー場のポテンシャルエネルギーに基づくクインテッセンスと呼ばれる模型が提唱されているが,ポテンシャルによってどのように暗黒エネルギーの状態方程式の変化が異なるかを明らかにした.その結果を用いて,CMB, バリオン振動,超新星の最新の観測データから,クインテッセンス模型に対して制限を与えた.さらにクインテッセンス模型で,物質揺らぎの成長率に関して解析的な評価を与え,最新の宇宙の大規模構造の観測から,模型に対する制限を与えた.また,f(R)重力理論,ガリレオン理論などの修正重力理論において,物質揺らぎの成長率を理論的に計算し,これらの模型が最新の観測から強く制限されることを示した. 上記の研究成果は,スウェーデン,中国,ブラジル,ポーランド,タイで開かれた国際会議と,国内で開かれたいくつかの会議などで発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クインテッセンスに関して,2012年までのデータを用いて非常に強い制限が得ることができ,暗黒エネルギーの起源に迫る上で重要な結果を得た.また,修正重力理論に基づく暗黒エネルギー模型でも,物質揺らぎの成長率に関する大規模構造からの制限から,予想以上の強い制限が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,修正重力理論に基づく暗黒エネルギーの状態方程式の変化に関して系統的に調べ,そのような模型が最新の観測から好まれるかどうかについて明らかにする.それに加えて,密度揺らぎの進化の情報について考えることで, 有効な模型を絞り込む.さらに,インフレーションで生成される密度揺らぎに関しては,Planck衛星の観測結果を用いて模型の選別を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,スペイン,ギリシャなどで開かれる国際会議と国内の会議に参加し,そこで研究成果を報告するとともに,共同研究者と積極的に議論し,暗黒エネルギーとインフレーションに関する研究を行う.また,Planckのデータ解析に必要なコンピュータを新たに購入し,計算の高速化につとめる.また,データ解析に関連する書籍や,メモリーなども購入する.
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Research Products
(14 results)