2014 Fiscal Year Annual Research Report
核分裂における断裂中性子と分裂片質量分布の動力学的研究
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24540289
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
和田 隆宏 関西大学, システム理工学部, 教授 (30202419)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核分裂 / 揺動散逸動力学 / ランジュバン方程式 / 分裂片質量分布 / 断裂中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる平成26年度は、断裂陽子の角分布に関する研究を進めるとともに、ランジュバン方程式による核分裂動力学の研究で進展が得られた。 核分裂と同時に発生する断裂粒子の研究では、断裂中性子に続いて、断裂陽子に関する研究を行った。分裂片からのクーロン斥力は、陽子を分裂片を結ぶ軸と垂直な方向に収束する効果を持つと期待されるが、現実に収束がどの程度となるかの計算はこれまでなかった。本研究によって、クーロン力は収束効果を持つものの、分裂片からの核力(引力ポテンシャル)の効果がより支配的であることが示された。また、非対称分裂における断裂中性子放出に関しても研究を行い、重い分裂片側により多くの中性子が放出されることを示した。次に、計算領域の境界での波の反射の影響を取り除く透過境界条件に関する研究にも進展があり、自由粒子に関しては軸対称を仮定した3次元空間で、実質的に無反射条件を達成した。これにより計算時間を大幅に短縮でき、分裂片に残る中性子や陽子の波動関数を含めた計算が可能となる。 ランジュバン方程式による核分裂動力学の研究では、模型空間における殻補正を含むポテンシャルエネルギーに区分関数近似の手法を導入し、計算精度、計算速度の向上に成功した。これにより、任意の形状パラメータでのポテンシャルエネルギー計算が可能となった。12月に日本原子力研究開発機構で行われたASRC International Workshop"Nuclear Fission and Exotic Nuclei"においてFm系における核分裂片質量分布に関する発表を行った。解析をさらに進めて、2015年5月に開催される5th International Conference on the Chemistry and Physics of the Transactinide Elementsにおいて口頭発表を行う。
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Research Products
(5 results)