2012 Fiscal Year Research-status Report
地下深部花崗岩中のミューオン生成核種を用いた過去1千万年の宇宙線変動の探索
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24540297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 教授 (60150265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 永年変化 / ミューオン / AMS分析 / 花崗岩 |
Research Abstract |
本研究は、高エネルギー宇宙線ミューオンが地下深部の岩石中に生成する宇宙線生成核種Be-10, Al-26 の加速器質量分析法(AMS)による検出を目的としている。CERNのCONPASS実験ラインにおいて160GeVのミューオンを2010年に約123日間照射した石英板および土岐花崗岩を試料として測定・分析を行った。平成24年度は、照射ミューオン数の解析、試料の非破壊ガンマ線測定分析、試料のBe-10, Al-26 の加速器質量分析、ミューオン数と生成核種の関係、そしてミューオンビームライン上の石英板および花崗岩の配置に対する生成核種の生成量の関係についての解析を行った。 ミューオンは約10秒のバンチで照射されておりバンチあたり5.85E+07個の強度で、全照射ミューオン数は8.585x1012個であった。試料はAMS分析の前に、低バックグランドGeガンマ線測定器で非破壊核種測定分析を行った。分析された生成核種は、短半減期のBe-7(半減期53日)とNa-22(半減期2.6年)である。Be-10, Al-26のAMS分析は各々15,7試料について行った。照射期間を3つに分け照射ミューオン数に対する生成核種の生成量は良い線型性を示した。生成核種Be-7,Na-22,Be-10,Al-26のミューオン当たりの生成率は、(3.14±0.33)x10-8atoms/g/ミューオン, (2.70±0.44)x10-8atoms/g/ミューオン、(7.5±0.37)x10-9atoms/g/ミューオン、(5.54±0.34)x10-8atoms/g/ミューオンであった。また、土岐花崗岩中に生成されたNa-22は予備測定値であるが、(2.70±0.44)x10-8atoms/g/ミューオンが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するため、平成24年度は研究実施計画に基づき基礎実験特性を調べた。達成状況は以下のようである。 1)CERNにおける照射ミューオンの全照射期間にわたる高時間分解能での照射ミューオン数のプロファイル解析が完了した。2)ミューオン照射石英板試料の15枚についてBe-10およびAl-26のAMS分析が完了した。また、ミューオン照射した土岐花崗岩および照射しない土岐花崗岩の非破壊ガンマ線核種分析を低バックグランドゲルマニウム検出器により測定して行った。3)ミューオン照射試料の解析から、Be-7,Na-22, Al-26,Be-10の各核種に対してミューオン1個当たりの生成率を求めた。また、花崗岩中に生成されたNa-22の生成率を得た。4)深度300mの土岐花崗岩コア試料からの石英抽出は終わっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、当初の研究計画に基づき以下のように進める。 ミューオン照射した土岐花崗岩と未照射の土岐花崗岩のBe-10およびAl-26のAMS分析を行い、花崗岩内でのミューオンに対する生成率を求める。また、ミューオン照射シミュレーションソフトを用いて石英板や花崗岩における生成核種の生成量を求めるシミュレータを開発して生成率を計算し実験結果と比較する。さらに、石英抽出してある土岐花崗岩のAMS測定分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画は以下のようである。 主に花崗岩中のBe-10,Al-26をAMSにより測定分析する。このため測定試料の作成および測定に実験費、旅費、謝金、分析費として研究費を使用する。また、花崗岩のガンマ線測定を継続して行うため、旅費に使用する。
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Research Products
(2 results)