2013 Fiscal Year Research-status Report
地下深部花崗岩中のミューオン生成核種を用いた過去1千万年の宇宙線変動の探索
Project/Area Number |
24540297
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
櫻井 敬久 山形大学, 理学部, 教授 (60150265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 助教 (00344614)
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Keywords | 宇宙線 / 永年変化 / ミューオン / 加速器質量分析 / 花崗岩 |
Research Abstract |
本研究は、過去1千万年の宇宙線強度変動を探索するために高エネルギー宇宙線ミューオンが地下深部の岩石中に生成する宇宙線生成核種Be-10, Al-26 を加速器質量分析法(AMS)により検出することを目的としている。CERNのCONPASS実験ラインにおいて160GeVのミューオンを2010年に約123日間照射した石英板および土岐花崗岩を試料として測定・分析を行い検出の較正データの解析を行っている。 平成25年度は、以下の実験研究を実施した。 1.ミューオンを照射した約1mの土岐花崗岩柱から石英を抽出した。抽出した石英成分の割合は28.6%であった。2.土岐花崗岩のX線組成分析を行った。主な組成は二酸化ケイ素 (75.7%)、酸化アルミニウムA(13.0%)、酸化カリウム(5.1%)、酸化ナトリウム(3.9%)、三酸化二鉄(1.5%)であった。3.ミューオン照射した花崗岩バルクと抽出石英試料中の生成放射性核種Na-22の非破壊ガンマ線測定分析を行った。花崗岩バルクに対する生成量は抽出石英の2.9倍であった。2の結果から花崗岩バルクの二酸化ケイ素は石英の2.4倍であるのでバルクは他の鉱物組成による生成があることが分かった。4)ミューオン照射した土岐花崗岩から抽出した試料中のBe-10, Al-26 の加速器質量分析を行い、ミューオンビームライン上の石英板および花崗岩の配置に対する生成核種の生成量の関係について解析を行った。ミューオン照射花崗岩から抽出した1gの石英中に1個のミューオンにより生成されたBe-10およびAl-26は平均で各々(2.1±0.03)x10-8 個、(16.6±0.6)x10-8 個であった。照射花崗岩中の生成核種の生成率は、過去の宇宙線変動を評価する上で重要なデータである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するため、平成25年度は研究実施計画に基づき試料作成と測定・分析を行った。達成度は以下のようであった。 1.ミューオン照射した土岐花崗岩および照射しない土岐花崗岩から石英の抽出を行った。2.花崗岩バルクとその抽出石英の非破壊ガンマ線核種分析を低バックグランドゲルマニウム検出器により行い、生成比を比較し鉱物組成の影響を評価した。3.抽出石英のBe-10、Al-26の加速器質量分析を行い1m花崗岩の生成率を求めた。4.これらの研究成果は平成26年度夏の国際会議に発表することになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき以下のように進める。 ミューオン照射した土岐花崗岩と未照射の土岐花崗岩の抽出石英についてBe-10およびAl-26のAMS分析を行い、データ点を増やして確認とともに精度を高める。また、ミューオン照射シミュレーションにより石英板や花崗岩における生成核種の生成量を求め実験結果と比較する。さらに、石英抽出してある深部土岐花崗岩のAMS測定分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に計画したミューオン照射花崗岩からの石英抽出と加速器質量分析(AMS)測定のための試料作成は完了できたが、一部試料のAMS測定がマシンタイムの関係で測定できなかった。また、研究成果の発表は平成26年度開催の国際会議に行うこととした。 平成25年度に作成した未測定試料の測定を行う。平成26年夏にフランスで開催されるAMSの国際会議で研究成果の発表を行う。
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Research Products
(5 results)