2014 Fiscal Year Annual Research Report
原子核乾板における低エネルギー電子飛跡の高速自動同定
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24540302
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 修 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 助教 (20377964)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニュートリノ / ダブルベータ崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は全自動飛跡読み取り装置による飛跡データを高効率で正しく分類する手法の開発である。原子核乾板を用いた解析は主に数GeV/以上のエネルギーの荷電粒子の飛跡および反応を再構成して行われてきた。200ミクロン厚のベースの両面に45ミクロン厚の原子核乳剤が塗られたフィルムが基本単位で、飛跡の自動認識は高倍率の顕微鏡で乳剤層を16層の断層画像で取得し銀粒子が直線状に連なるものを探索することで行われる。充分な飛跡検出効率を担保する為に飛跡認識の銀粒子連なり断層数の閾値は低く設定され、コンプトン電子によるノイズ飛跡も混入する。コンプトン電子の飛跡は通常解析の邪魔ものであり削減すべき対象である。一方で低エネルギー電子飛跡を検出したい場合には飛跡の認識率が低いなどの問題を抱えていた。
本研究課題ではH24年度に乳剤読み取り断層数を16層から32層に増やしコンプトン電子によるノイズ飛跡が従来の10分の1になることを確認した。H25年度は別のノイズ飛跡源であるα線の自動認識を試み20ミクロン以上の飛程のα線に対し90%以上の効率で検出できる事を示した。
本年度は宇宙線の飛跡とコンプトン電子によるノイズ飛跡の分別を他変数の解析手法(BDT)で行った。BDTの特徴としては変数間に相関がある場合、明らかにライクリーフッド法に比べ信号対ノイズ比が良いことが知られている。実際のフィルムに写った飛跡の特徴量としては飛跡の濃さ(PH)とマイクロトラックのベーストラックの角度差(dax,day)を用いた。本物の飛跡の場合PHと角度差に相関がある一方でノイズ飛跡の場合はランダムである。。OPERA実験の反応解析で原子核乾板フィルム間のアライメントが失敗していたサンプル約100例に対して新たにBDTを用いた解析手法を開発、適用しフィルム間のアライメントに成功した。
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Research Products
(4 results)