2013 Fiscal Year Research-status Report
炭素不安定核ビームと陽子の散乱による核内陽子・中性子密度分布の分離測定
Project/Area Number |
24540306
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 治隆 大阪大学, 核物理研究センター, 共同研究員 (30025465)
|
Keywords | 中間エネルギー陽子弾性散乱 / 炭素16ビーム / 大口径固体水素標的 / 固体水素薄膜 / 低ガス高速ドリフトチェンバー |
Research Abstract |
理研の加速器の運転スケジュールの都合で延び延びになっていた「不安定核炭素16ビームの固体水素散乱実験」の本測定を4月初旬の2週間に実施して、予定のデータを収集することに成功した。実験後測定データの整理と解析を実施し、2013年9月下旬に開催された物理学会秋の分科会で測定結果と簡単な解析を発表した。さらにデータ整理の精度を上げ、理論解析を行い陽子分布と中性子分布を3パラメータフェルミ分布で求めることに成功した。結果は馬場辰雄君の京都大学理学研究科修士論文として提出した。得られた分布の不定性を確定させてから論文として投稿する予定である。 データ整理と並行して実験装置の改良に取りかかった。これまでのビームラインドリフトチェンバーが低速のためにビーム強度を絞って実験せざるを得なかったとの反省に基づき、ビーム位置測定用のビームライン低ガスドリフトチェンバーを高速化してこれまでより5倍のビーム量にも耐えるドリフトチェンバーを設計し製作に取りかかった。年度末には納品されたので2014年4月より性能のチェックを行う予定である。この改良は次に予定されている錫132ビームによる陽子弾性散乱のための準備にもなっている。 固体水素標的については陽子弾性散乱以外にも利用の希望が殺到しているので、より大口径化、1mmより薄い固体水素標的が作成できるように改良を行っている。これ以外にもNaI(Tl)検出器および反跳粒子カウンターの着脱を容易にし、設置精度を上げる改良にも着手し他の核反応実験にも対応できるようにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では炭素16ビームの固体水素標的からの散乱を300MeV/A, 200MeV/Aの2点で測定し陽子分布と中性子分布を独立して求める予定であった。しかし200MeV/Aでの測定を理研が却下したため、300MeV/Aの測定データだけで分布を抽出しなければならなくなったので、陽子分布と中性分布の抽出精度が悪くなり、またモデル依存型の分布になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
当面300MeV/Aで得られた結果を論文発表した後に200MeV/Aの測定を再度理研側に要求し、当初の目標を実現しようと思っている。現在テスト中の高速ビーム位置検出器が予定の性能を出せれば、1/5のビームタイムで測定を終えることができるので実現可能と考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビームラインドリフトチェンバーのテストが多少遅れているために旅費の使用が遅れている。次年度7月に放医研でのビームによるテストが予定されているのでその際に消化出来る見込みである。 放医研でのビームラインドリフトチェンバーのテストへの参加者用旅費と秋の日米合同原子核物理学会での発表用旅費に使用する予定である。
|