2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540312
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
杉本 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (70196757)
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Keywords | 粒子測定技術 |
Research Abstract |
平成25年度には、前年度に構築した循環型2相CO2冷却システムについて、液化CO2の流量を測定するためのコリオリ式流量計を組み入れた後、研究機関(KEK)内での安全審査の手続きを経た上で、CO2ボンベ、チラー、エアコンプレッサーを接続して実際の運転を行い、零下40℃から常温付近(15℃)までにわたって冷却運転ができることを実証した。我々が開発している冷却システムはその冷凍能力から見て高圧ガス保安法等の法令の適用範囲外なのだが、KEKの自主的な安全審査を経て法令に準拠していることを明らかにしてから運転を開始した。この安全審査の過程においては様々な安全対策に加え、何か所かの装置の改造を行った。また、耐圧試験などは外部の資格を持った業者に委託した。 コリオリ流量計の組み入れ以外の具体的な改造箇所は、環境CO2濃度を測定するセンサーの設置、コンプレッサーに戻るCO2を完全に気化させるための温水槽の液面計の設置、データロガーの入力モジュールの追加(20チャンネルを40チャンネルに増加)、バルブ数個の交換、圧力が上がりすぎた場合にCO2コンプレッサーを駆動する圧縮空気を遮断してコンプレッサーを停止させるインターロック回路の追加等である。 実際の装置の運転においては始めの予想とは異なる振る舞いをすることもあり、多くのノウハウを得ることができた。冷却温度の設定を変えるためには充填するCO2の量を調整する必要があることが分かったのもその一例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
安全審査とそれに伴う装置の改造や追加の完成検査などのためにかなりの日数を費やしたために、平成25年度中に当初予定していた測定器プロトタイプの冷却試験を行うことはできず、平成26年度にずれ込むことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、これまで開発してきた循環型2相CO2冷却装置の動作条件の最適化を行ったうえで、この装置を用いて実際に発熱体の冷却試験を行う。ダミーの配管と発熱体を用いて実質的な冷却能力を明らかにする。さらに測定器プロトタイプの冷却試験を行って、2相CO2冷却の有効性を実証する。それと同時に測定器側の冷却器と、それから数メートル離れた液化器に分離したシステムの設計を行い、そのシステムを構築して、実際の素粒子実験に使用可能な冷却システムの実証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
循環型2相CO2冷却システムの安全審査およびそれに伴う改造や完成検査に時間がかかったために、平成25年度中には予定していた測定器プロトタイプの冷却試験を行うことができなかった。そのため、冷却試験用の予算を次年度に繰り越すことになった。 平成26年度には前年からの繰り越し分を合わせて、測定器プロトタイプの冷却試験のための配管や断熱材等を購入する。さらに液化部と冷却部を離したシステムの部品を購入する。また、研究打合せや成果発表のための国内旅費および国際会議での成果発表のために外国旅費を使用する。
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Research Products
(2 results)