2013 Fiscal Year Research-status Report
量子ドット系における非平衡多体状態の数値計算手法開発
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24540316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 岳生 東京大学, 物性研究所, 准教授 (80332956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪野 塁 東京大学, 物性研究所, 助教 (00625022)
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Keywords | 半導体 / 量子ドット / 非平衡輸送特性 / 電子相関 / 近藤効果 |
Research Abstract |
平成25年度は、研究計画に沿って場の理論によるアンダーソン不純物模型の数値計算手法開発を引き続き行った。バーテックス補正を系統的に取り扱う手法を二粒子規約ダイアグラム法に基いて整理し、フロッケ形式によって任意の外場強度下の物理量の定式化を行った。特にショットノイズに代表される電流相関について、平均場近似とそこから導かれるバーテックス補正の計算を行い、数値計算を行った。これらの成果について原著論文をまとめており、まもなく投稿予定である。ナノスケール素子の非平衡状態の評価方法は、場の理論を通してより広いクラスの非平衡状態の問題へも適用可能であるが、この方向についても研究を推し進め、進化ゲーム理論の確率過程でみられる準安定状態間の遷移についても研究を行った。空間自由度の有無によって、準安定状態からの遷移確率が大きく変化することをはじめて見出した。この成果についても原著論文を執筆中であり、まもなく投稿予定である。また共同研究者の阪野塁は、不純物アンダーソン模型の高バイアス状態に関する理論研究を進め、その成果をPhysical Review B誌に発表した。 平成25年度は以上の非平衡状態の研究と並行して、熱平衡にある近藤状態を介した熱輸送についても考察した。2つのフォノン熱浴と結合した2状態系を考えると、アンダーソン模型から導かれる有効模型の一つである近藤模型と等価であることが知られている。フォノンの輸送に近藤効果がどのような影響をおよぼすかを調べるために、この系の熱コンダクタンスを量子モンテカルロ法を用いて計算した。近藤温度によって熱コンダクタンスが一つのスケーリング曲線に乗ることを示し、近藤温度以下では普遍的に熱コンダクタンスが温度の3乗に比例することを示した。この成果はPhysical Review Letters誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において、強い外場の下での非平衡状態アンダーソン模型の平均場近似計算がほぼ完了した。より高度な近似手法の一般論の構築に向けて、理論基盤の整備はできたと考えている。また、平成25年度は、近藤効果に関連する課題について研究が大きく進展した。本年度研究を遂行したフォノン系における近藤効果に類似した現象は、ナノスケース素子のフォノンが有する多体効果について、新たな光をあてるものである。また、共同研究者の阪野塁は高バイアス領域の非平衡状態について着実に成果を挙げている。 以上の研究成果から、当初の研究目標はほぼ達成されたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究の実施過程において、当初の目標であった保存近似によるアプローチについて精査したところ、そのままの形で精度のよい計算が難しいことが判明した。そこで最終年度においては、保存近似によるアプローチをやめ、同じ場の理論の手法に立脚したパルケ近似の手法に着目し、数値計算手法を考察することにする。また可積分系の視点から計算手法を考察するために、ベーテ仮説法による時間依存効果にも着手した。平成25年度で行ったフォノン系における近藤効果に類似する現象についても研究を推し進め、さらなる成果が得られるよう研究を実施したい。
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Research Products
(20 results)