2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット系における非平衡多体状態の数値計算手法開発
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24540316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 岳生 東京大学, 物性研究所, 准教授 (80332956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪野 塁 東京大学, 物性研究所, 助教 (00625022)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メゾスコピック系 / 近藤効果 / 非平衡統計力学 / 物性理論 / 量子ドット |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、強い交流外場下での非平衡アンダーソン模型の電流ノイズに関して、非平衡グリーン関数による定式化およびバーテックス補正の表式を導出を行った。ハートリー近似による交流外場下の電流ゆらぎについて計算を行うとともに、オンサーガー関係式の非平衡状態への拡張を利用して有効温度を定義し、計算結果が有効温度を用いてよく理解されることを示した。並行して、量子ドットと量子ホール効果のエッジ状態を利用した単一電子注入における位相緩和の効果を、量子光学の分野で用いられるinput-output理論を用いて計算した。以上の2つの研究結果は原著論文としてまとめられ出版された。これらの成果は、メゾスコピック系の動的現象という新しい研究テーマに対して、理論的な側面から光をあてる重要な成果であると考える。このほかに、ベーテ仮説解を用いた近藤状態の量子クエンチ現象の解析、フォノン熱浴による近藤効果の非オーミック熱浴への拡張などの研究が進行中であるが、年度内に論文を出版するにいたらなかった。共同研究者の阪野塁は高バイアス領域の非平衡状態について、非平衡グリーン関数を用いた厳密な計算手法を確立し、論文として公表した。 全体として、当初掲げた数値計算手法の開発そのものは、その基礎づけまでは完了したものの、実際の実装にはさらなる研究が必要であることが判明した。そこで、最終年度においては、より実行可能な研究テーマへの展開をはかった結果、十分な成果を挙げたものと考える。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] カーボンナノチューブ量子ドットにおけるショットノイズ測定2015
Author(s)
藤原亮, 秦徳郎, 吉井涼輔, 荒川智紀, 小林研介, Meydi Ferrier, Raphaelle Dalagrange, Richard Deblock, Helene Bouchiat, 阪野塁, 小栗章
Organizer
日本物理学会第70回年次大会
Place of Presentation
早稲田大学(東京都新宿区)
Year and Date
2015-03-22
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[Presentation] SU(2)およびSU(4)近藤状態における非平衡電流ゆらぎ2014
Author(s)
荒川智紀, 秦徳郎, 藤原亮, 小林研介, Meydi Ferrier, Raphaelle Delagrange, Richard Deblock, Helene Bouchiat, 阪野塁, 小栗章
Organizer
日本物理学会2014年秋季大会
Place of Presentation
中部大学(愛知県春日井市)
Year and Date
2014-09-08
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