2014 Fiscal Year Annual Research Report
微小ジョセフソン接合デバイスにおける量子状態の操作と量子コヒーレンスに関する研究
Project/Area Number |
24540317
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
島津 佳弘 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70235612)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超伝導材料・素子 / メゾスコピック系 / 量子ビット / ジョセフソン接合 / 量子コンピュータ / 量子コヒーレンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2013 年度までの研究において、3個のジョセフソン接合をもつ磁束量子ビットとDC-SQUIDが結合した系において、高次のサイドバンド遷移を観測し、この現象の起源がDC-SQUIDに付随するシャントキャパシタとジョセフソンインダクタンスによるLC共鳴(SQUIDプラズマモード)であることを明らかした。2013 年度に測定した試料では、光子数変化M = 2までの遷移が観測されたが、新たに、DC-SQUIDの臨界電流を増加させることにより結合度を増加した試料を作製し実験を行った結果、M = 3以上の遷移を明瞭に観測することができた。高次のRed sidebandとBlue sidebandがほぼ対称に現れたのは、SQUIDプラズマモードの周波数が低いために熱励起の効果が大きいことが原因である。 高次サイドバンドのメカニズムを理論的に説明するために、磁束量子ビットとDC-SQUIDの結合系のハミルトニアンの固有状態を求め、その間の遷移行列要素を計算した。結合度の実験的な推定は今後の課題であるが、予想される程度の結合度を仮定した計算により、M = 3までの遷移行列要素も無視できない値をもつことがわかった。したがって、理論計算の結果は、実験結果を説明できるものである。遷移行列要素の、磁束量子ビットに与える磁束(磁束バイアス)に対する依存性も計算した。サイドバンド遷移は、磁束バイアスが磁束量子の半分であるときには起こらず、そのバイアス点から離れるほど、顕著に起こることを示した。この結果も実験結果と一致するものである。高次サイドバンドが顕著に観測されるためには、共振器周波数がある程度小さいことが必要であることが、計算により示された。
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