2013 Fiscal Year Research-status Report
電気化学的手法を用いたトポロジカル絶縁体・超伝導体の精密物性制御
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24540320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
瀬川 耕司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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Keywords | トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導 |
Research Abstract |
トポロジカル超伝導体探索のための舞台となるトポロジカル絶縁体の探索については、通常の絶縁体であるPbSe層とトポロジカル絶縁体であるBi2Se3層がそれぞれ結晶構造を保ちつつブロックを形成して積層するPb-Bi-Se系化合物で、これまでに合成の報告のないBi2Se3層が4層積層した未報告相である(PbSe)5(Bi2Se3)3m [以下PSBS]という組成で m=4 となる化合物の単結晶合成に成功した。この系の光電子分光測定の結果はBi2Se3の層の厚さによって変化し、Bi2Se3薄膜について観測されているのと同様の振舞いを示すことがわかっている。Bi2Se3 層が薄すぎる試料では試料の上面と下面の表面/界面状態が互いに混成してディラック的分散にギャップが開くなど、トポロジカルな由来を持つ特異な性質が弱められることが知られているため、よりBi2Se3の厚い層が得られたことによって表面/界面状態をバルクの物性として観測しやすくなることが期待される。 一方で、Bi2Se3層が2層積層した上記と同じ組成で m=2 となる化合物について、電気化学的に銅をインターカレートした試料[以下 CPSBS m=2]で超伝導を示すことを見出した。これは組成の似た超伝導体CuxBi2Se3と比べて超伝導転移を示す温度は約2.8 Kと少し低いものの、超伝導遮蔽体積分率が100%に達する試料が得られるなど超伝導特性のより良い系であることがわかっている。また、その低温における比熱の温度依存性からこの系における超伝導が通常のBCS超伝導でない可能性が示唆されている。 上記の結果については論文を投稿中であるが超伝導が確認されたのは CPSBS m=2 のみであり、現在は他の m について超伝導体の作製を試みているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル絶縁体のバルク絶縁性向上と、Cu以外の遷移金属元素のインターカレーションについてはいずれも未だ成功していないが、トポロジカル超伝導体の候補物質の作製には成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカル超伝導体の候補物質を発見したので、今後はその物質系を広げること、またトポロジカル超伝導であることを確認するためのスペクトロスコピーの実験を行うことも視野に入れる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
結晶評価用の計測器が不足する可能性があり、次年度以降に増強する可能性が生じたため。 結晶評価用の計測器の増強に使用する。
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Research Products
(8 results)