2012 Fiscal Year Research-status Report
有機色素ナノファイバーによる励起子ポラリトンの室温ボーズ・アインシュタイン凝縮
Project/Area Number |
24540333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
高澤 健 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (10354317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ボーズ凝縮 / 励起子ポラリトン / 有機ナノファイバー / 有機色素 / 光物性 / レーザー分光 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機色素ナノファイバーを用いて室温で励起子ポラリトン(EP)のボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)を実現することである。我々はこれまでの研究で、有機色素チアシアニン(以下TC)を自己組織化させて合成したナノファイバーが、光励起で生じたEPを室温でミリメートルに亘って伝搬する新現象を見出した。色素ナノファイバー中のEPは室温でも極めて安定なため、無機半導体では困難な室温長距離伝搬を示す。本研究ではまず、ナノファイバー中にEPの閉じ込めが可能な共振器を作成する。光励起により生じたEPを共振器中に高密度に閉じ込めてBEC状態を生成し、発光スペクトルの顕著な狭幅化を観測することで確認する。 室温BECを達成するための第一歩は、光励起で生じたEPをナノファイバー中に強く閉じ込めることが可能なEP共振器を製作することである。24年度は、高性能なEP共振器の製作技術を確立した。具体的には、一本のTCナノファイバーをマイクロマニピュレーション技術により操作して両端を接続し、リング構造を製作した。リングを光励起すると、生じたEPがリング内を周回して強く閉じ込められ、リング共振器として機能した。共振器の閉じ込め能力を示すQ値は4,000以上に達した。25年度は、製作したリング共振器をレーザー光で強励起し、BEC状態の生成を目指す。 また、BECの実現を目指した研究の過程で、非常に重要な成果が得られた。ナノファイバーをマイクロマニピュレーション技術で操作することで、従来技術では実現困難な、素子サイズ僅か10ミクロン四方の極微小Mach-Zehnder型干渉計の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるナノファイバーを用いたEPのBECを実現するための第一歩となる、ナノファイバーによる共振器の作製に、研究の初年度である24年度に成功した。従って、研究は目的に向かって順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、24年度の研究で制作方法を確立した、ナノファイバーによるリング共振器をレーザー光で強励起し、BEC状態の生成を目指す。また、24年度の研究で、ナノファイバーを用いると従来技術では実現困難な極微小光学素子の構築が可能であることを示した。引き続き、種々の革新的な極微小光学素子の開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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