2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540334
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
今中 康貴 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (70354371)
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Keywords | サイクロトロン共鳴 / テラヘルツ光 / 強磁場 / 二次元電子系 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度後半で購入した高速繰り返しスキャンを行うステージを使った計測手法の確立と、光伝導テラヘルツアンテナとテラヘルツレンズを用いた送受信部の小型化に取り組んだ。光ファイバとの直接接合はかなり難しいため、光ファイバ端面と光伝導アンテナの間にレンズを組み込むことで可視励起光の集光を行い、テラヘルツ光は光伝導アンテナ部と直接組み合わせることが可能なコリメーションレンズとフォーカスレンズを使って小型化を行った。 またそれと平行して、InGaAs量子ホール二層系の強磁場テラヘルツサイクロトロン共鳴の測定やCdTe量子ホール系のミリ波、サブミリ波による光学的シュブニコフドハース振動測定を行い、これら詳細な研究は日本物理学会や内外の研究会等で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ分光装置の開発において、A:光伝導アンテナを励起するためのフェムト秒可視光パルスの長距離伝送、B:テラヘルツ光発生検出に使用する光伝導アンテナの作成、C:発生させたテラヘルツ光の強磁場極低温環境への導入、のうち、今年度もCの液体ヘリウムを使った極低温環境でのテストが十分にできない状況であった。 また半導体二次元電子系の強磁場ミリ波、サブミリ波、テラヘルツ波を使ったサイクロトロン共鳴実験では引き続き様々な成果が得られたが、特にCdMnTe系の試料で観測された光学的SdH振動で、Andoらが70年代に理論的に示していたサイクロトロン共鳴磁場の前後でその振動の位相が反転する様子が明確に観測することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も低温下での測定に関しては十分に行えなかったので、まずは窒素温度にて実験を行うことを優先し、比較的高温でも信号のでる試料でサイクロトロン共鳴や電子スピン共鳴などのテストを行い、最終的にはヘリウム温度下での測定を試みる。その上で、様々な量子ホール系でのサイクロトロン共鳴の測定を行い、これまでの測定結果との比較や、コヒーレント振動の検出などに取り組む。また分数量子ホール系でのサイクロトロン共鳴の研究も行い、特に多体効果に関した知見を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は予定通りに試料空間の真空引きに使用するオイルフリーのポンプの購入を行った。それ以外の、特に旅費に関しては別の予算から計上できたため、その分と前年度からの合算が次年度使用額の主な内訳である。 次年度は最終年度であるので、テラヘルツ時間領域分光を使った半導体の強磁場透過測定を計画している。また光ファイバ、光伝導アンテナ作成ための消耗品購入などにも引き続き使用する予定である。また国内学会への旅費、論文等の発表に関する雑費なども計上する。
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Research Products
(7 results)