2012 Fiscal Year Research-status Report
放射光・核共鳴吸収を利用した元素選択的3D原子配列測定法の開発
Project/Area Number |
24540341
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
岡田 京子 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (70399616)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 核共鳴散乱 / γ線ホログラム / 放射光 / ホログラフィー |
Research Abstract |
材料の原子構造解析は精力的に研究されている分野である。既に研究されている分野ではあるが、研究代表者はホログラフィー手法を応用した新たな3D原子配列測定法を研究する。この方法は、核共鳴散乱と放射光とホログラムを組み合わせた方法である。これは今迄の測定法とは異なり、原子の化学状態も明らかにする可能性があるという特徴を持つ。原子の化学状態が得られることから、物性の機能発現メカニズムの情報も明らかにできる可能性があると期待される。この新たな3D原子配列測定法の樹立の為には、測定系を整備し、解析手法も確立する必要がある。研究代表者は既に57Feを使用して予備実験を行ったが、現有のシステムでは検出効率が低く、高精度のデータが取得できなかった。そこで、本研究では新たな測定システムの構築を行い、測定・解析手法の完成を目指す。 メスバウアー効果を利用した物性測定では、共鳴γ線を共鳴吸収する原子核の状態と同時に、この原子核周辺の電子状態や、この原子に隣接する同種・異種原子の状態を明らかにできると期待される。結晶試料への入射γ線の方位を走査して、メスバウアー効果により発生するX線の2次元強度分布を取得すればγ線ホログラムとなる。 そこで、研究代表者は、研究の第一ステップとして、基本測定セットアップの構築を行った。57Feを含む結晶試料にパルス状の放射光X線を照射し、試料を回転させながら、高速APD検出器でX線の強度変化を測定し、ホログラムを得た。その結果、放射光核共鳴散乱法を利用した、蛍光X線ホログラムとは別のパターンを持つγ線ホログラムの取得ができた可能性が高いと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎となる、基本測定セットアップの構築を行なえた。さらにこれらを用いて、放射光核共鳴散乱法を利用した、蛍光X線ホログラムとは別のパターンを持つγ線ホログラムの取得ができたと考えている。また、この取得したγ線ホログラムは、統計が少ないものの解析することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は(1)と(2)の各パートに分けて研究を進める。 (1)γ線ホログラムの物理素過程の理論研究およびγ線ホログラムの3次元像再生の理論研究。 (2)より高精度のデータ取得を目指すための計測系の開発:①~②。 ①多素子高速APD検出器のR&Dと、エネルギーと時間の分離計測法のR&Dを行う。そして、得られるホログラムとそこから再構成される3D原子配列の定量比較を行い、最適な方法を改良する。 ②高速ディスクリミネータ―・高速カウンター・高速ステージコントローラー・高速データ取得プログラムなどを組み合わせ、ロジックやハードの改良も含め、統合システムとしての高速・高性能化を行う。同時に、多チャンネル高速同時計測システムの構築も行う。なお、時間枠のタイミングはSPring-8のRF信号から作成して利用する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算が許す範囲で、[1]検出部の高度化と、[2]高速カウンターモジュールや高速ステージコントローラーモジュールの改良を、プライオリティ順に行う。 25年度への繰越金が発生した状況および使用計画。 ①・②は本計画遂行のための両輪であり、高度な性能が必要であるがゆえに開発が難しい。予算が限られている中、①と②共にできるだけより良い物を開発・作成するためには、検討と作成にさらなる時間をかけて作成する方が良いとの判断により、25年度に繰り越した。今年度は、①ないしは②のどちらかの開発を先行して行う予定である。
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Research Products
(1 results)