2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540343
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
平島 大 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20208820)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属強磁性 / ハーフメタル / 電子相関 |
Research Abstract |
(1) 金属磁性に対する理論手法の確立を目指し、まず2次元液体3Heを対象として、本研究課題にとっては予備的な研究を行った。それと並行する形で、これまでに理論的、実験的にもよく研究されている遷移金属強磁性体、特に鉄を対象として研究を行った。自己無撞着2次摂動法を適用することによって、現実的なモデルおよび相互作用定数を用いて、実験結果とかなりよく一致する計算結果が得られることが分かった。ただし、鉄に関しては、フェルミ面近傍での顕著な質量増強は得られず、、また、スピンスティッフネス定数は実験値よりもやや小さい値が得られた。これらの事実は、2次摂動理論である程度の相関効果を取り込むことができたが、定量的にはまだ不足している点があることを示唆する。そこでさらに近似を改良し、鉄のみならずニッケルに対しても有効な手法を見出すことに成功した。。 (2) 常磁性金属におけるスピンホール効果は、金属強磁性体における異常ホール効果と同じメカニズムで引き起こされる。すなわち、スピン軌道相互作用が本質的に重要な現象である。スピンホール効果は、磁場を使わずにスピン自由度を制御する可能性をもたらす現象として注目されている。我々は、鉄系超伝導体の正常状態において、バンド構造の特殊性によって、大きなスピンホール効果が観測されうることを見出した。ハーフメタル強磁性におけるスピン軌道相互作用の効果の研究についても参考となる結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所期の目的に比べ、やや遅れている。一つの理由は、理論手法の確立に時間がかかっていることである。所期の予想になかった困難が生じ、それを解決するのに時間を要した。ただし、副産物として当初想定していなかった理論手法の開発に成功した。もう一つのより大きな理由は、10月に所属を異動したことである。それにともなって、計算機の購入が遅れるなど、計画が遅れる要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の方向はこれまで通りである。 24年度は年度途中に所属が変わり、また、新しい大学での設備状況の問題などがあり、計算機の購入ができなかった。そのためかなりの予算を25年度に繰り越すこととなった。25年度の早い時期に計算機を購入して、本格的な研究体制を整える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機を設置する部屋の工事の必要があったため、24年度中の計算機の購入を見送った。25年度はの予算は主として計算機の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)