2012 Fiscal Year Research-status Report
不均一ボース・アインシュタイン凝縮系における超流動・超固体の安定性と密度ゆらぎ
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24540361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 雄介 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20261547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超流動 / 安定性 / グロスピタエフスキー方程式 / ボゴリューボフ方程式 / 臨界速度 / 密度ゆらぎ / 分岐理論 / サドルノード分岐 |
Research Abstract |
本年度は、障害物の存在下での2次元超流動流の不安定性の研究についての進展があった。障害物の存在下での2次元グロスピタエフスキー方程式の定常解を数値的に精度良く求めることに成功し、その定常凝縮体波動関数の周りでの線形ゆらぎの固有モードをボゴリューボフ方程式を対角化することで求めることができた。その結果、凝縮体の速度が臨界速度に近づくにつれて、低エネルギー励起の密度ゆらぎの行列要素が増大することを見出した。これは当初の目的、すなわち「動的密度ゆらぎに注目して、超流動崩壊機構を探る」上で重要なステップが達成できたことを意味する。また副産物的な結果として、2次元ボゴリューボフ方程式を位相因子のついた擬周期的境界条件の下で対角化すると、有限系にもかかわらず、第一励起状態の励起エネルギーが、臨界速度近傍でゼロに近づくこと、その振る舞いが、ハミルトニアン・サドルノード分岐の予言するスケール則と一致することを示した。このことは、臨界速度近傍で、特徴的エネルギースケールがゼロになること、特徴的時間スケールが無限大になることを示している。動的物理量(緩和時間、スペクトル関数)に特異性があらわれる動的臨界現象が生じることが示唆される。超流動臨界速度近傍で、凝縮体の動的ゆらぎに超流動崩壊の兆候が見られるであろうという我々の予想が確かめられたことになる。これらの主な成果は、研究代表者の研究室に所属する大学院生、國見氏によるものである。それ以外にも、弾性変形する境界に囲まれた超流体の動的応答の定式化(藤井・加藤)。障害物下の一次元超流動体に対する超流動不安定化と密度ゆらぎに関する知見を得る(渡部・加藤)などの成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
障害物が存在する2次元超流動に関してグロスピタエフスキー方程式の超流動解を数値的に精度よく求めることができ、その周りでの線形ゆらぎの固有モードをボゴリューボフ方程式の対角化により求めることができたので、当初の計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に完成したコードを用いて、障害物下の2次元超流動の臨界速度付近の密度ゆらぎを定量化し、超流動崩壊と密度ゆらぎの関係を2次元超流動体について確立することが次年度の目標である。それとともに障害物下における2次元超固体相の超流動性の研究を進めることが今後の課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度繰り越し分1816円を加え、25年度に1201816円の支出予定。 設備備品費に45万円、旅費に70万円、消耗品に5万1816円を予定している。
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Research Products
(11 results)