2014 Fiscal Year Annual Research Report
微細構造振動子を用いたグラフェンの面内歪み制御の研究
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24540363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 和人 東京大学, 物性研究所, 技術専門職員 (20422438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 俊人 東京大学, 物性研究所, 准教授 (00192526)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グラフェン / ディラック電子系 / 超薄膜 / マイクロ・ナノデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である本年度は、音波を発生するためのピエゾコントローラへの入力信号発生器、電気抵抗を測定するための電流源、デジタルオシロスコープ等、音波発生とその下での電気抵抗測定を一元的に制御するプログラムの開発を行った。これにより、微細構造体の振動の周波数と振幅を制御するとともに、振動する微細構造体に近接した薄膜試料の電気抵抗の時間変化を、誘起される歪みの変化とともに同時計測するシステムが完成した。また、酸化シリコン絶縁膜付きのシリコン基板上に形成された櫛形電極にグラフェン薄膜を機械的剥離法により直接転写し、フッ酸処理することにより酸化膜を除去する方法で、架橋グラフェンの作製を試みた。光学顕微鏡と顕微ラマン分光測定装置による観察から、二層グラフェンが櫛状電極をまたぐように転写されていることを確認した。さらに、フッ酸処理する前後で、ゲート電圧依存性が劇的に改善されたことから、易動度の大幅な向上を確認した。ただ、現時点でこの易動度の向上が架橋化による効果なのかどうかは確認できていない。この試料について、周期 2 ミクロン、深さ 1 ミクロンの櫛状微細構造体を試料直上(サブミクロン間隔)に配置し、音波振動実験を行った。その結果、電荷中性点近傍で微小ながら振動に追随して電気抵抗が変化する現象が観察された。この現象が歪みによる効果かどうか、現在検討中である。 本研究は、圧電素子の表面にサブミクロンサイズの微細構造体を結合させた構造体を架橋グラフェン上に近接配置し、気体雰囲気中において振動させることによりグラフェンに歪みを誘起しようとするものであり、技術的目標はほぼ達成されたと言える。このことは、原子層膜等、2次元物質全般における”strain engineering”への新たなアプローチとして、大いに意義があると思われる。歪みによるグラフェンの電子系への影響については、現在評価中である。
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Research Products
(2 results)