2013 Fiscal Year Research-status Report
超強磁場磁化過程によるLaCoO3中のスピン相分離の研究
Project/Area Number |
24540365
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
浅井 吉蔵 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00109795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 桂輔 茨城工業高等専門学校, 自然科学科, 講師 (10418212)
小林 義彦 東京医科大学, 医学部, 講師 (60293122)
中村 仁 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (50313416)
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Keywords | スピン転移 / スピン相分離 / スピンポーラロン / 超強磁場 / 強相関電子系 / 磁性 / Co酸化物 |
Research Abstract |
100K近傍で非磁性低スピン(LS, S=0)から常磁性へスピン転移を起こすMott転移近傍物質LaCoO3は、転移後の磁性状態Co3+のスピン状態が未だ不明である。申請者等は、超強磁場磁化測定から、LaCoO3ではLSから高スピン (HS, S=2)に転移するCo3+(以後、CoI)とLSから中間スピン(IS、S=1)に転移するCo3+(以後,CoII)の2種類のCo3+が共存すること、即ちスピン相分離を提案した。本研究では、(A)元素置換をしたLaCoO3の強磁場磁化からCoIとCoIIの安定性を決める要因、(B)両者の空間的相関の2点を探り、LaCoO3で2種類 のCo3+が共存する機構を明らかにする。さらに(C)置換元素による局所的影響とその範囲から、置換元素導入により生ずる新たなスピン相を明らかにする。置換元素は、(i) 化学的圧力効果、 (ii)電荷導入、 (iii) Co-3dと希土類4fの混成、(iv) Co-3dと異種遷移金属元素の混成の(A)~(C)への効果を明らかにするように選定する。 本年度は、前年度に引き続き、M=Al, Ga, Rh, Irを導入した試料の強磁場磁化測定を行った。その結果、M=Alでは、CoIのLSからHSへの転移磁場が上昇すること、即ち、LS基底状態に対するHSのエネルギーが増大すること、M=Gaでは殆ど影響しないことが判明した。一方、M=Rh, Irで は転移磁場が減少すること、即ち磁性状態の励起エネルギーが減少すること、更に基底状態が磁性状態のCoの出現することが判明した。これらの振る舞いは、Sr導入で見られたスピンポーラロンによる振る舞いとは明らかに異なる。全体の傾向はMイオンの大きさによる化学的圧力効果で定性的には説明できることが解った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の当初計画どおり実験は進展した。 当初、予定していた論文作製が次年度になった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおりの実験を行う。 特に,3d-4f混成のスピン転移への影響を調べることに重点をおく。 最終年度であるので論文作製にも力をいれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文投稿が予定より遅れ,H24年度中にずれ込んだため、発表に関する経費が余った。 論文出版の費用(英文校正、投稿料等)及び旅費の一部として使用する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Magnetic Anomaly of La_{1-x}M_{x}FeO_{3} (M = Ca, Sr, and Ba) around 100 K2014
Author(s)
Yuki Nakamae, Shu Ishida, Wataru Takemura, Masatoshi Ohno, Akimasa Okada, Toshihiro Mitsui, Yoshihiko Kobayashi, Jin Nakamura, and Kichizo Asai
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 83
Pages: 063701
DOI
Peer Reviewed
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