2012 Fiscal Year Research-status Report
鉄テルルセレン超伝導体の鉄とテルル双方のメスバウアー効果による磁性と超伝導の関係
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24540371
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
北尾 真司 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (00314295)
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| Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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| Keywords | 鉄系超伝導 / メスバウアー分光 / 磁気秩序 / テルル |
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| Research Abstract |
鉄テルルセレン化合物については、純良な単結晶試料の作成手法について、数多くの試行を行い、作成方法はほぼ確立されてきた。種々の化合物のうち、すでに作成方法が確立した鉄テルル化合物試料を用いて、鉄57メスバウアー効果による多結晶試料の詳細な温度変化測定を行った。それにより超伝導体母物質である鉄テルルにおける複雑な磁気構造についての解析を行い、磁気構造の解明が進展しつつある。さらに、強磁場下でのメスバウアー測定を行うことで、メスバウアーパラメータのより詳細な分析が可能となった。たとえば、強磁場下で磁気モーメントが磁場方向に揃おうとする振舞いから反強磁性相互作用の大きさの見積りを行うことや、強磁場下のメスバウアースペクトルで四極子分裂が対称化されていることから四極子分裂と磁気モーメントの結晶軸との関係性についての議論を行うことが可能となった。さらにテルル125のメスバウアー分光の測定を行い、その解析を進めているところである。テルル125のメスバウアー分光を用いた鉄系超伝導物質の研究はこれまで行われた例がないため、その解析から非常に重要な情報が得られると期待される。例えば、鉄テルル化合物におけるテルルの内部磁場や四極子分裂の情報はこれまで得られていなかったことから、鉄テルルのような11系と呼ばれる鉄系超伝導体が、1111系や122系などの鉄系超伝導体と異なり、複雑な母物質の磁気秩序をもつ原因などを推察することが可能になると考えられる。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄テルル化合物試料作製方法については、多くの試行によりほぼ確立してきていると考えられる。現状では多結晶で行っているメスバウアー分光測定においては問題がないが、単結晶を用いたメスバウアー分光測定を行うためにはさらに大きな単結晶が望ましいため、より大きくかつ純良な試料が作成できるようさらに試行を行う必要がある。鉄57メスバウアー分光およびテルル125メスバウアー分光については、おおむね順調に測定を行うことができ、さらに詳細な解析を行うことで議論が進展しつつある。放射光を用いたメスバウアー分光についても進展中であるが、より詳細な測定のためには、より大きな純良単結晶であることが望ましいため結晶作成方法の改良が必要である。また放射光メスバウアー分光の実験手法においては、さらなる実験手法の確立や向上が必要な点があるため、その研究開発を進展させつつある段階である。
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| Strategy for Future Research Activity |
鉄テルルセレン化合物の種々のドーピング濃度での純良な試料の作成方法の確立と、より大きく純良な単結晶試料の作成方法の確立を目指す。また、鉄57およびテルル125メスバウアー分光において、強磁場下の測定についてさらに進展させ、複雑なスペクトルの解析方法の進展を目指す。さらに、放射光メスバウアー分光については、測定効率向上のための検出器の改良や、試料冷却用チャンバーの改良などを試みて、効率的な測定が可能となることを目指す。また放射光を用いたメスバウアー分光および核共鳴散乱分光の解析手法を確立し、より詳細で明確な分析が可能となるような手法を開発することを計画している。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の物品購入計画としては、試料作製方法の確立のため、試料作製用試薬や器具などの消耗品を購入する予定である。また、メスバウアー分光測定を進めるため、実験測定のための消耗品や持具などを購入する予定である。さらに、放射光メスバウアー分光を進展させるため、実験測定で使用する持具や検出器改良のための部材などを購入する予定である。
また、旅費の計画としては、他部局において試料評価を行うための国内旅費および、国内学会における研究報告や研究打合せのための国内旅費、また国際学会における研究成果の報告を行うための旅費を支出する予定である。
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Research Products
(1 results)
