2014 Fiscal Year Annual Research Report
一次元三角格子系の電荷・軌道自由度の制御と新奇量子臨界相の創製と異常物性の開拓
Project/Area Number |
24540373
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮坂 茂樹 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70345106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 軌道秩序 / スピンフラストレーション / 金属-絶縁体転移 / 量子臨界点 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では幾何学的フラストレーションを内包した一次元三角格子系を研究してきた。これらの系では、軌道秩序などによりスピンフラストレーションが解消され、長距離磁気秩序が発生する。本研究では、キャリアドーピング効果により磁気・軌道の長距離秩序を融解させ、スピンフラストレーションを復活させることを試みた。この融解した電子状態はスピン・軌道のゆらぎが非常に強く、新奇な量子臨界現象が発現すると期待される。本研究では、母物質が磁気・軌道秩序を示すCa(V1-xCrx)2O4を対象に研究を行った。軌道秩序が生じているV3+サイトへ、3d電子数が一つ多いCr3+を元素置換することにより、実効的な電子ドーピングが可能となる。 FZ法で育成したCa(V1-xCrx)2O4の単結晶を用いて、x=0.1近傍の放射光単結晶構造解析、磁化測定を行ったところ、x=0.10において軌道秩序とそれに伴う構造相転移が消失し、同時に長距離反強磁性がスピングラスに変化することが判明した。これらは、x=0.10が軌道・磁気秩序の量子臨界点であることを示唆している。 母物質のCaV2O4はモット絶縁体で、電気抵抗率は半導体的な振る舞いを示す。Cr置換に伴い電気抵抗率の絶対値は減少していき、磁気・軌道秩序の臨界点であるx=0.10で金属的な振る舞いを示す。この結果は本系では磁気・軌道秩序の融解とともに、キャリアの振る舞いは局在から遍歴的なものへと変化していることを意味している。このように、本系の金属-絶縁体転移は、スピン・軌道・電荷の自由度が互いに結合した現象となっていることが判明した。その臨界組成であるx=0.10の低温の電気抵抗率は、通常のフェルミ液体の温度の2乗に比例した振る舞いではなく、温度の0.5乗に比例した異常な振る舞いを示す。これは、スピン・軌道のゆらぎが強く作用した結果によるものだと予想している。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Strongly three-dimensional electronic structure and Fermi surfaces of SrFe2(As0.65P0.35)2: Comparison with BaFe2(As1-xPx)22014
Author(s)
H. Suzuki, T. Kobayashi, S. Miyasaka, T. Yoshida, K. Okazaki, L. C. C. Ambolode II, S. Ideta, M. Yi, M. Hashimoto, D. H. Lu, Z. –X. Shen, K. Ono, H. Kumigashira, S. Tajima, A. Fujimori
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 89
Pages: 184513-1-6
DOI
Peer Reviewed
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