2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540374
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
野上 由夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10202251)
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| Keywords | 電荷密度波 / 4f電子 / 希土類元素 / 磁場 / 磁気秩序 |
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| Research Abstract |
本年度は新たに、反強磁性の磁気的基底状態を持つNdNiC2においてについて、以下のことが明らかになった。１）反強磁性と波数(0.5 ～0.5 0)の電荷密度波(CDW)は共存するものの、２）数テスラの磁場印加で強制強磁性状態となり、抵抗から判断し強磁性状態ではCDWが消失していることを発見した。(JPSJ 82(2013)123701)。これはRNiC2のうち唯一ゼロ磁場で強磁性転移するSmNiC2において、常磁性状態から磁場印加により強磁性を発現させた時にCDWが消失することと、強く相関しているものと思われる(Phys. Rev. B85 (2012) 092402)。
この磁場はわずか数テスラであり、温度換算すれば、数K程度のエネルギーになるが、実際には転移温度100K以上のCDWを消失させることができる。これは予想されていなかった結果である。
この他、嬉しい成果として、工夫した作成方法によりRが異なる多種の良質の単結晶を得られたこと、その多くがCDWを示したことがあげられる。具体的にはRNiC2 (R=La,Pr,Nd,Sm,Dy,Y,Ho,Er)の良質単結晶の作成に成功しPr,Nd,Sm,Dy,Yでは回折的手法と抵抗測定によりCDWを発見した。そのCDW転移温度は、100Kから350Kに分布する。しかも、Dy,Y,Ho,Erでは違う波数の変調構造をも発見した。回折実験から判定して、これらの変調構造同士は競合しあっている。これらの物質の多くは反強磁性を低温で示すがその磁気構造は微妙に違っている。本物質群で見られるCDWが、上記のように磁場に弱い原因を、今後詳細に調べる上で、本年度作成した多種の良質の単結晶は、有力なツールとなるであろう。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反強磁性の磁気的基底状態を持つNdNiC2で、数テスラの磁場により転移温度100K以上のCDWが消失していることを発見した。(JPSJ 82(2013)123701)。また、精密な研究の舞台となるべき単結晶試料がR=La,Pr,Nd,Sm,Dy,Y,Ho,Erで安定に出来るようになった。これは大きな前身である。そればかりではなく、ランタノイド半径を反映した格子定数短縮に応じ、CDWが安定化し転移温度が上昇すること、更に高温側に(1/2 1/2 1/2)の構造変調が存在することも明らかになった。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度RNiC2 (R=La,Pr,Nd,Sm,Dy,Y,Ho,Er)の良質単結晶の作成に成功しPr,Nd,Sm,Dy,YではCDWを系統的に見い出した。またランタノイド半径を反映した格子定数短縮に応じ、CDWが安定化し、転移温度も上昇する事を見出した。しかし、さらに半径が小さいDy,Y,Ho,Erなどでは高温側に(1/2 1/2 1/2)の構造変調が競合することも明らかにした。
この物質で見られるCDWはエネルギースケールで考えた時に、磁場にきわめて弱い。この異常なCDWの磁場不安定性の原因を探るために、これら、新たに得られた単結晶に対して、磁場下でCDWの消長を精緻に測定する。回折的な手法と輸送特性（磁気抵抗、ホール効果）の両方から、重点的に調べる。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、様々な物質の合成が順調に進み、それらの物質で本研究の中心内容であるCDWや構造変化の発見が相次いだ。研究の効率を上げるため、今年度は物質合成とCDWの基礎的な研究を中心とし、来年度に費用のかかる、詳細な物性測定を集約的にすることにした。このため、支出が見込まれる来年度に研究費を廻し有効利用することにした。
作成した高品位単結晶RNiC2について、寒剤ヘリウムを用いた輸送特性、X線を用いた変調構造の解析、更には磁場中での構造解析もおこなう。
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Research Products
(4 results)
