2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540374
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野上 由夫 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10202251)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 電荷密度波 / 4f電子 / 希土類元素 / 磁場 / 磁気秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、作成したRNiC2の多種の純良単結晶(R=La ,Ce ,Pr ,Nd ,Sm ,Gd ,Dy ,Y , Ho, Er)の内、多くの物質で変調構造(X線)と電子物性(磁気抵抗、ホール係数)との相関を詳細に測定し、1)その変調構造の波数(具体的には整合か不整合か)、また、2)構造変化と抵抗変化と合わせてCDWとみなせるかについて詳しく調べた。その結果として、ランタノイド収縮による化学圧効果が、これらの変調構造と電子状態とに大きな影響を与えていることがわかった。すなわち、半径が大きい低圧側(軽希土類側)から整理すると、低圧側では変調構造自体が不安定になるが、半径の小さな重希土類を用いたRNiC2では変調構造が安定化し転移温度も上昇する。 具体的に述べるとLa, Ceについては変調構造が存在せず、Pr, Nd, Sm, Gdでは不整合CDWが安定化し、転移温度も次第に上昇する。これらの不整合CDW(0.5 0.52 0)は、常磁性基底状態のPrを除いてTc100K以上のCDWが10T以下の磁場で容易に破壊される。また、転移温度では抵抗上昇が見られる。Dy,Yではおどろくべきことに二種類の変調構造が共存し、高温側で前出の不整合CDW、低温側で整合変調構造(0.5 0.5 0.5)が見られる。Ho,Erでは整合変調構造(0.5 0.5 0.5)のみが高温から発達し、磁場による破壊はないが、変調構造形成温度で抵抗上昇が見られる。軽希土類側での磁場による不整合CDWの破壊の原因を探るため、希土類の磁気モーメントによる内部磁場形成によるCDW破壊を作業仮説としてホール係数の測定をおこなった。その結果として、磁場によりキャリア数が回復していることを発見し、完全にCDWが破壊していることを裏付けた。
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Research Products
(4 results)