2014 Fiscal Year Research-status Report
厳密解および場の理論を用いた臨界的2次元確率過程の研究
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24540393
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堺 和光 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (10397028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 康平 岡山光量子科学研究所, その他部局等, 研究員 (30583033) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Schramm-Loewner発展 / 可解模型 / 可積分系 / K理論 / 対称多項式 / グロタンディーク多項式 / 確率過程 / ソリトン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,前年度の研究で進展した,「可解模型と幾何学との関連」に関しての研究を推進した.シューア多項式に代表される対称多項式は,表現論など数学の研究対象のみならず,ソリトン理論,共形場理論,多粒子ランダムウォーク等々,数理物理に極めて頻繁に登場する.前年度,我々はある種の可解模型が,代数多様体におけるK理論と呼ばれる概念と関連していることを発見したが,その研究を推進し,可積分確率模型とK理論との関係を考察し,さらに,3次元の結晶溶融模型との対応を定式化した.原子間の相互作用のない3次元の結晶溶融模型は,3次元のヤング図とみなすことができ,この3次元ヤング図は自然数の平面分割の3次元で表したものとみなすことができる.我々の定式化した模型は,原子間がある種の相互作用する場合への拡張となっており,K理論的な拡張とみなすことができる.この模型の分配関数はK理論的なパラメーター(betaとする)を含むが,beta=0の場合,この分配関数はMacMahon 関数と呼ばれる,自然数の平面分割の生成母関数に他ならない.驚くべきことに,beta=1 の場合,この分配関数は自然数の分割(通常の2次元ヤング図)のオイラーの生成母関数となっている点である.このことはこの模型が2次元と3次元のヤング図の生成母関数を含む数学的に新しい何らかの拡張となっていることを示唆する.K理論は現在,超弦理論におけるD-brane 電荷の分類や,トポロジカル絶縁体・超伝導体のトポロジカルな分類に応用されるなど,数理物理学上の重要な研究テーマとなりつつあり,その基礎理論の研究は重要であると考える. さらに,これらの研究の発展として,シューア多項式における新しい組合せ論的公式を発見した. これらの研究の他,量子可積分系におけるソリトン構造の研究,SLE曲線の合成則の研究,熱力学的量子純粋状態の研究に関する研究も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画の予定になかった「可解模型と幾何学」に関して新たなが発展が,当初計画の推進中に創出された.この研究をさらに進展させるとともに,これと並行して当初研究も概ね計画どおり推進していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の課題,「厳密解および場の理論を用いた臨界的2次元確率過程の研究」を当初計画通り推進するが,この研究の中で新たに創出された「可解模型と幾何学との関連」に関しても,並行して研究を推進する.
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Causes of Carryover |
購入した物品が予定より安価であったことと,学会等が近隣で行われたため旅費の支出が予定より抑えられたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費・旅費として使用する計画である.
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