2014 Fiscal Year Annual Research Report
可積分量子多体系の非平衡ダイナミクスと相関関数:再帰性と量子エルゴ―ド定理の検証
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24540396
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
出口 哲生 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (70227544)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 可積分量子系 / 量子多体系 / 量子ダイナミクス / 非平衡 / 典型性 / 量子XXX鎖 / 近藤問題 / 代数的ベーテ仮設 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 可積分量子系のXXX鎖の量子状態をベーテ固有状態を重ね合わせて構成し、時間発展した状態と初期状態の相関(フィデリティー)を求めた。 (2) 量子XXX鎖の局所磁化の形状因子公式はKitanine et al. (1999) で導かれていたが、数値的に安定でなかった。Slavnov の行列式からCauchy 行列式を分離し、漸近的にフレッドホルム行列式に収束する行列式の形にこの形状因子公式を改良した。スピノン状態の和で与えられる量子状態に対して、局所磁化の時間発展を求めた。 (3) 近藤問題など不純物を含む可積分量子系の解として、不純物サイトを持つ量子XXZ鎖の厳密解を導いた。XXZ鎖中の不純物は1次元ラッティンジャー流体中の不純物に対応し、普遍性クラスはラッティンジャー流体パラメターで表されると予想される。基底状態に対するベーテ仮設方程式を解き、ウィーナーホップ法を積分範囲が非対称な場合に拡張し、絶対零度での不純物磁化率の解析的表式を求めた。そして低温での不純物比熱を熱力学的ベーテ仮設方程式の数値解から求めた。普遍性クラスを表すウィルソン比の解析的表式が導かれ、共形場理論の予想と一致した。XXZ鎖のdressed chargeつまり共形場のコンパクト化半径で表される。さらに代数的ベーテ仮設を用いて局所磁化演算子の期待値を直接計算し、有限磁場下での不純物磁化の解析的表式を導いた。従来の近藤問題の厳密解では、ベーテ仮設方程式に基づく物理的な議論で不純物磁化を導出していたが、上で求めた従来の方法での結果と一致した。代数的ベーテ仮設で従来の方法が裏付けられた。 (4) 格子点数12の場合にXXX鎖のベーテ仮設方程式の解を全て求めた。局所磁化の形状因子の改良公式に代入すると、複素数値束縛解など任意の解を含む量子状態に関して、物理量演算子の状態期待値の時間発展が導かれるであろう。
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Research Products
(16 results)