2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24540397
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大鳥 範和 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20272859)
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Keywords | 国際交流者研究 / フランス:イギリス / 分子動力学法 / 酸化物ガラス / ホウ酸 / ケイ酸 / アルミナ |
Research Abstract |
純粋なホウ酸の結晶状態、すなわち常圧相ならびに高圧相の2種類の平衡構造について第一原理計算を行い、系の全エネルギーを評価した。また同じ結晶構造に、分極イオンモデルを適用し、第一原理計算によるエネルギー値をなるべく再現するよう、ポテンシャルパラメーターを最適化した。このとき、分極イオンモデルには、引力項に従来の双極子相互作用のみを考慮した分極イオンモデル、引力項のイオン分極に四重極相互作用を追加導入したモデル、さらに引力項の四重極相互作用に加えて斥力項に異方分極性を導入したモデルの、計3種類を用いて、それぞれ平衡構造で最適化したポテンシャルパラメーターを用いて結晶の体積を変化させた場合のエネルギーを評価し、第一原理計算によるエネルギー値の体積変化の結果と比べて、その再現性を比較した。その結果、引力項に従来の双極子相互作用のみを考慮した分極イオンモデルでは、常圧相ならびに高圧相ともに第一原理計算によるエネルギー値を十分に再現できなかったが、引力項のイオン分極に四重極相互作用を追加導入したモデルでは常圧相のエネルギー値が良く再現できるようになること、さらにはこれに加えて斥力項に異方分極性を導入することによって高圧相のエネルギー値までもが十分な精度で第一原理計算によるエネルギー値を再現できるようになることが明らかになった。 一方、酸化ナトリウムと酸化アルミニウムを含む珪酸ガラスについては、分極イオンモデルを用いた分子動力学計算を実行し、幅広い組成において、最近のNMR実験による非架橋酸素を中心とした種々の三原子クラスター(すなわちNa-O-Siなど)の存在割合の組成依存性を極めて高い精度で再現できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホウ酸の結晶について、広範な圧力状態で通用する一般性の高いポテンシャルモデルを構築できたと評価できる。また、珪酸ガラス混合系においては、現時点で非常に有望な相互作用関数が得られており、おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ホウ酸ガラス混合系について、一般性の高い高度な分極イオンモデルを用いた分子動力学計算を実行し、NMRなどによる実験結果との比較を試みる。また、珪酸ガラス混合系についても、より幅広い組成へと分子動力学計算の適用を進めて、アルカリ金属イオンの拡散性の解明へと発展させて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、研究協力者であるオックスフォード大学のMadden教授およびパリ第六大学のSalanne博士と研究打合せの旅費を計上していたが、25年度はSalanne博士が別の研究助成を利用してオックスフォード大学ならびに新潟大学を訪れて研究打合せを行なえることになったため、旅費としては改めて26年度に執行することが有効な活用につながると判断したため。また、高速演算装置に関しても、25年度に複数台購入するよりも、より計算負荷の高い演算を実行する予定の26年度に執行することが原価損失の観点から装置の有効活用につながると判断したため。 26年度は、4-5月期に高速演算装置を追加購入し、計算負荷の大きな演算の実行に役立てる。また、9月期にオックスフォード大学とパリ第六大学の訪問を通じて研究打合せを行い、研究の推進に役立てる。
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Research Products
(13 results)