2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540399
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 淳史 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40222062)
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Keywords | 量子相関 / 可積分系 / 完全WKB法 / リーマンゼータ関数 / 国際情報交換(ドイツ) |
Research Abstract |
本研究は、無限及び有限一次元空間上でのボーズ粒子系の量子相関に関して、量子逆散乱法と完全WKB法を組み合わせた新たな系統的解析法を確立することを目標とするものである。量子ボーズ系自体は連続空間で定義されており、同一点での処理など、技術的に困難である点も多い為、より取り扱いが容易な格子上のスピン系に関してその相関関数に対する定量的な解析を行う事にした。ボーズ系を再現する為にはスピンの大きさを無限大の極限にとり、異方性をそれに応じて微調整する必要があるため、高いスピンの解析が必要と成る。スピン1/2の系に対する量子相関は、対応する還元KZ量子方程式による解析法が確立されたといってよいが、高いスピンの場合このような系統的解析法はいまだ知られていない。そこでfusionとよばれる構成法に基づき第一原理から相関関数の合成を行なう事により、高いスピンでの任意の温度に置ける短距離相関関数の定量的評価を行う事に成功した。それによりゼロ温度の極限では、半整数量子スピンの相関関数は奇数の引数をもつリーマン・ゼータ関数で、また整数量子スピンの相関関数は偶数の引数をもつリーマン・ゼータ関数で表示できることが明らかとなった。この内容は、いくつかの国際会議で発表され、論文としてすでに出版された。また近年注目を集めているクェンチ系の緩和問題への適用を念頭に相関関数に対する技法を応用して、形状因子の定量的評価の問題について現在解析を行なっている。この問題は、平衡への緩和に対する一般化されたギブス集団からの差異など、統計力学の根幹に関する問題を含んでおり今後の発展に寄与して行く事は重要だと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高いスピンに関する定量的解析は24年度中に終わらせ、25年度には有向ポリマーや非対称排除過程などに応用する予定であったが、予想以上に時間が必要であった。これは、当初考えていた離散的な点における関数等式による解析が、十分協力でなく、第一原理的な解析に立ち返らねばならなかったことが原因である。また研究の遂行中、量子クェンチ系の緩和が大きな関心を集めはじめ、統計力学の根幹である統計集団の問題に関係して、大きな発展が見込まれるようになった。そこでこの話題に関する基礎的な研究として現在の手法が適用できる形状因子の定量的評価の研究に時間がさかれた、ということも理由として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目標にあった有限 系での有向ポリマーの自由エネルギー揺らぎに対してベーテ根を数値的に取り扱う事により定量的な解析を行なうと同時に量子クェンチ系の緩和への適用を念頭にる形状因子の定量的評価に対する解析的手法を確立し、ボーズ系での緩和ダイナミクスまた拡張されたGibbs アンサンブル等の問題に適用することをひとつの目標としたい。とくに初期値分布による変分原理の問題について考察を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
9月にあったフランスでの国際会議の際に、ドイツの共同研究者を訪問し、3日間共同研究を行った。ドイツでの滞在費は科学研究補助金によってまかなう予定であったが、先方より負担の申し入れがあり、これを受け入れたため残金が生じた。 今年度は申請時に予定していなかったニューヨーク大学ストーニーブルック校での国際会議への参加要請があり、これに応じた為に、当初予定より旅費は必要となったため、これを補填する為に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)