2014 Fiscal Year Annual Research Report
数学的に予言される2次元点渦系平均場方程式のm点爆発解の動力学的理解
Project/Area Number |
24540400
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
八柳 祐一 静岡大学, 教育学部, 准教授 (30287990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 2次元点渦系 / 絶対負温度 / Onsager理論 / インバースカスケード |
Outline of Annual Research Achievements |
渦結晶状態を理解するために,クランプがその構造を保つためには,ドリフト項の働きが重要であることが確認できたが,多角形配位を形成/維持するメカニズムの詳細を理解するには至らなかった。 点渦系は,対称性の低い初期配位から時間発展を始めると,collisionlessな移流項の働きにより高速に対称的な配位をめざす。我々は,この状態を「局所平衡」とよぶ。局所平衡では,系内に温度が異なる小領域が点在し,各小領域内では拡散項の効果はゼロとなっている。すなわち,詳細釣り合いが実現されているといってよい。その後,温度が異なる別の小領域との相互作用に由来する拡散効果により駆動されるが,この効果の大きさは1/N_L (N_L:ローカルな点渦数)程度の小さなものである。すなわち,局所平衡状態に達したクランプの内と外をまたく粒子輸送が小さくなっており,m点渦の状態は,N_L×t_D(t_D:ダイナミカルタイム)程度の時間スケールにわたり維持されることが期待できる。これらより,m点渦解が安定解(平衡解)になるためには,局所平衡状態で非ゼロの拡散項をゼロにできるような条件を検討すればよいことがわかった。 また,これまで,N体系の緩和は,violent relaxation → slow relaxationという2段階のメカニズムと理解されていたが,我々が行った点渦系の時間発展より得たH関数の時間依存性より,これまでのslow relaxationよりさらに低速な緩和があることが示唆される数値的な結果を得た。これは,対称的な配位に達した段階で,1/(N_L×N_L) 以上の小さな拡散効果があることを意味し,さらなる高精度近似による運動論的方程式が必要である,との認識に至った。
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Research Products
(9 results)