2012 Fiscal Year Research-status Report
プラズモン観測による膨張金属流体中の電子ダイナミクスの解明
Project/Area Number |
24540401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 和博 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50362447)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 液体金属 / 非弾性散乱 / 電子状態 |
Research Abstract |
本研究は、金属の温度圧力を制御し、気液共存線に沿って連続的な低密度化を実現しながら、その電子状態の変化を解明することである。対象はアルカリ金属である。金属流体を低密度化しながらX線非弾性散乱測定を行うためには、試料を高温条件下で安定に保持し、かつ精度の高い散乱スペクトルを得ることの可能な試料セルを開発する必要がある。本年度は、X線非弾性散乱測定用のセル開発を行った。セルはX線透過窓材のモリブデン箔を、流体試料厚み(数100ミクロン)の狭小間隔で配置した構造である。試料はその空間に保持される。X線透過窓には、独自の工程で作製した単結晶モリブデン箔を用いた。最大の技術的課題は、極薄箔のパイプへの気密溶接である。各部品の接合には、新たに電子ビーム溶接手法を採用し、20ミクロン程度の極薄単結晶モリブデン箔をパイプ形状のセル母材に気密接合することに成功した。このセルの昇温テストを実施し、1000℃までの耐久性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において、試料セルの完成に必要な要素技術の確立は重要である。今年度は、セル設計、セルを構成する各部品の開発、および気密溶接技術開発(電子ビーム溶接を利用した極薄薄膜の気密溶接工程の開発)を実施した。X線を用いた散乱実験に必要とされる仕様をおおむね達成することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した試料セルに液体試料を導入する高信頼な技術を確立し、アルカリ金属流体のプラズマ振動モードの観測に向けた研究を推進する。大型放射光施設SPring-8において、放射光を用いたX線非弾性散乱測定の実施を予定している。ビームライン担当者と協力しながら実施する。測定は、プラズモンの観測が可能な比較的低散乱ベクトル領域に集中する。得られたスペクトルにおけるプラズモン励起ピークからプラズマ振動数と線幅、およびそれらの波数依存性を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高精度のX線散乱測定に向けた試料セル技術の開発は継続して実施する。従って、セル作製代に経費を用いる。同時に、高信頼の試料導入技術の確立とX線非弾性散乱実験の測定を行う。そのための消耗品や旅費等への出費を予定している。
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Research Products
(6 results)