2012 Fiscal Year Research-status Report
エンタングルメントを用いた強相関トポロジカル量子相の研究
Project/Area Number |
24540402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸塚 圭介 京都大学, 基礎物理学研究所, 准教授 (80291079)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トポロジカル秩序 / エンタングルメント / 強相関 / 国際研究者交流(フランス) |
Research Abstract |
二次元量子系の競合量子相に対する統一的有効理論の構築: 「contractor renormaliza tion(CORE)」と呼ばれる実空間くりこみ的な手法に基づいて、低次元量子磁性体におけるエキゾチックな量子相の大域的相構造の問題に取り組んだ。特に、5月~6月にToulouse Paul-Sabatier大学に滞在した際に共同研究を進めた。その基礎部分に関する論文をPhysical Review B誌に発表した。 強磁場中のスピン液体磁化プラトー状態に関する研究:2012年5月~6月にフランスToulouseに滞在した際に、Capponi氏、Plat氏らと数値計算を援用した共同研究を開始し、スピン液体相を含むいくつかの相の構造を明らかにした。2012年度中に主な計算をほぼ終了し、2013年度5月にPlat氏が基礎物理学研究所に滞在する際に完成させる予定である。 一次元の強相関トポロジカル相の研究:フランスのグループと共同で、一次元光格子中のアルカリ土類冷却原子気体の相図を調べた。この系は系のパラメータを調整することなくSU(N)(Nはアルカリ土類原子の核スピンの大きさで決まる)という高い対称性を実現できることが知られているが、この系のMott絶縁相の中に、非自明なトポロジカルな性質を持つものがあることを明らかにした。また、そのエンタングルメントの性質を調べた。 ホールドープされた一次元トポロジカルスピン系の性質:香川高専(現Stanford大)の長谷部氏と共同で、ある種のトポロジカルな性質を持つ一次元スピン系にホールを注入した際に、そのトポロジカルな性質、エンタングルメントがどのような影響を受けるかを調べた。また、string秩序と呼ばれる非局所的な秩序の存在とエンタングルメントの構造が密接に関係していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題のひとつである「二次元量子系の競合量子相に対する統一的有効理論の構築」に関しては、実際に数値的に調べていく過程でいくつか想定したなかった困難があることがわかり、基礎部分の結果は発表したものの研究の完成には至っていない。また、スピン液体のプロジェクトに関しては、進捗状況は順調であり、まもなく結果がまとまる予定である。これに加えて、一次元の強相関系のトポロジカル相の研究に関して、予想していなかった興味深い結果がいくつか得られ、今後の展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、5月から6月にかけて京大基礎物理学研究所に滞在するPlat氏と強磁場中のスピン液体のプロジェクトの完成を目指す。また、一次元の強相関トポロジカル相に関するプロジェクトについては、当初の予想を上回る進展があったので、今年度も引き続き主要課題として取り組み、特にくりこみ群が予言する大域的相構造と、強相関トポロジカル相の分類などがどのような関係になっているのかを解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当しない
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Research Products
(7 results)