2014 Fiscal Year Annual Research Report
統計力学と流体力学のコラボレーションによる塑性流動と乱流の新理論の展開
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24540404
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
大信田 丈志 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50294343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 明生 日本大学, 理工学部, 准教授 (60297778)
後藤 晋 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40321616)
松本 剛 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20346076)
大槻 道夫 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 講師 (30456751)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 塑性流動 / 乱流 / ラグランジュ的記述 / モード結合理論 / 揺動応答関係 / コロイド / 協同運動 / 非平衡統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
練り歯磨き粉など(ペーストまたは濃密スラリー)が示す塑性流動を微視的に基礎づけられるような非平衡統計力学の進展を目指し、昨年に引き続いて、今年度は4回のセミナー(通算第28回-31回)および学会等での打ち合わせを通じて検討を行った。 特に30回めのセミナーは研究会として実施した。 まず、非平衡系の応答関数と相関関数を関係づけるHarada-Sasa関係式を流体乱流に対して適用できる可能性を問う研究を進め、一定の制約の範囲内ではあるが数値的に良好な一致が得られることを示した。 結果の一部は Physical Review E 誌に速報論文として掲載された。 他方、昨年までの研究で、乱流理論にヒントを得たLagrange的な統計理論の手法を2次元コロイド系に適用できるめどがついたことを受けて、本年度は、新手法による解析を具体化するための足がかりとして、コロイド系での協同運動を示すテンソル的な相関に対する理論解析および数値計算プログラムの開発を進め、粒子系の直接数値計算と比較検討した。結果の一部については、1次元コロイド系での知見と併せて、国内の学会のみならず海外の研究会および学会で報告を行った。 さらに、ペーストの実験でも新たな発見があった。 水平加振を受けたあと固化したペーストでは、乾燥破壊パターンに異方性が現れることが既に分かっていたが、異方性の正体は謎であった。 そこで応力や歪みなどのレオロジー的な測定手段による検出の可能性を検討し、実験装置の改良を繰り返した結果、ついに亀裂発生以前に異方性を検出することに成功した。 これらの成果は、いずれも、複雑流体と乱流の理論に新たな発展の契機をもたらすものであり、特に三者を総合的に検討することで、非平衡統計力学の今後の展開に対し有用な示唆が得られるものと期待できる。
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Research Products
(10 results)