2013 Fiscal Year Research-status Report
液体中の横波と縦波のMixingメカニズムの解明:第一原理分子動力学法
Project/Area Number |
24540406
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宗尻 修治 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90353119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (30134951)
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Keywords | 液体中の横波 |
Research Abstract |
平成24年度は,液体中の横波の起源が,ケージ内の原子の振動にあることを古典分子動力学を用いて定量的に明らかにした.古典分子動力学では,大規模,長時間のシミュレーションが可能であるため,統計精度の高い動的構造データが得られる.これを用いて,ケージと集団運動の関係を定量的に調べる方法を開発した. 今年度は、この方法を第一原理分子動力学シミュレーションで計算した液体ナトリウム、液体シリコン,液体スズに適用して,ケージ内の原子の振動数と横波,縦波の振動数の関係を詳細に調べた.その結果,古典分子動力学による結果と同様に次の結果が得られた.(1)ケージ内の2つの原子を結ぶ方向と垂直方向への振動は、横方向のcurrent correlation functionの最大振動数と一致する。(2)縦方向のcurrent correlation functionの振動数は、平均原子間距離よりも近い位置に存在する2つの原子間の振動の振動数と一致するのみであり、原子間距離が離れるにつれて急激に振動数が小さくなる。つまり、原子集団のつくる縦波は、極近傍に存在する原子が次々に衝突して、それが伝播していくことによって起こることがわかった。一方,原子集団のつくる横方向の振動は、原子からなるケージ内の原子の振動が、その発生源であることがを明らかになった。 さらに,横波が存在する場合は,2つの原子の横方向の振動は,ケージを超えて伝播していくが,横波が存在しない場合には,振動はケージ内にとどまっていることが新たに明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり,液体中の横波の解析は,古典分子動力学のデータを用いた研究から,第一原理分子動力学によるデータの解析に進展し,横波発生のメカニズムを明らかにしてきた.本研究の最終目的である,縦波と横波のMixing機構の解明にとりかかる準備は整った.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である、液体中に横波が生じ、さらに、横波と縦波のmixing が起こる機構を、第一原理分子動力学法により、ミクロに明らかにするためには,統計精度の高い分子動力学のデータが必要である.このため来年度は,これまでに得られたシミュレーションのデータの解析とともに,あらたに大規模,長時間の第一原理分子動力学シミュレーションを実施する.
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