2014 Fiscal Year Annual Research Report
液体中の横波と縦波のMixingメカニズムの解明:第一原理分子動力学法
Project/Area Number |
24540406
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宗尻 修治 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (90353119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 公三 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (30134951)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 横波 / 液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、液体中の縦波と横波のMixingの起源を解明することである。ここでのMixingとは、液体中に横波が生じているとき、その振動数に近い振動数を持つ縦波も存在し、それが動的構造因子の中にピークとして現れることを意味する。このピークに対応する振動モードをT-modeと呼ぶことにする。 これまで、「T-modeはMixing現象によって現れる」と考えられてきた。しかし、今年度、長時間の第一原理分子動力学シミュレーションによって液体Sn,Siの動的構造を精度良く求め、それを詳細に分析したところ、T-modeは、横波が存在しない場合にも存在することが分かった。 液体中の横波は、原子スケールにおいても常に存在するわけではない。液体Siは隙間の多い構造のため、ケージ効果が弱く横波は生じない。また、液体Snは融点近傍であれば横波が存在するが、高温では消滅する。しかしこれらの場合でも明確にT-modeが存在することが分かってきた。つまり、T-modeは横波を起源として生じるという説では説明できない現象を得た。 T-modeが顕著に現れる液体はいずれも、動径分布関数の第一と第二ピークの間に小さなピークを持つことも分かった。中心の原子と、この小さなピークに存在する原子との相互作用は、第一近接原子との相互作用より弱い。このペアの振動が波源となって作られる波が T-modeの正体ではないかと考えられる。これを解明することが、本研究テーマの今後の課題である。 以上のように、本研究では、従来提案されていた仮説を覆す重要な発見に至った。
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