2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540410
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
L Igor 会津大学, コンピュータ理工学部, 教授 (80600585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 曜大 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (70360675)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 創発事象 / 有限認知容量 / 非線形力学系 / 異常確率過程 / ダイナミカルトラップ / 人間の不連続制御 / 非平衡相転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な目的は,人間の行動および社会系のダイナミクスにおいて人間の認知容量が有限であることにより引き起こされる基本的な性質のモデル化のための数学的定式化を精緻化することであった.例として,2つの特徴的な問題を詳細に調べた.1つは未知の環境における動物の食糧探索を模倣するレヴィ型ランダムウォークであり,もう1つは不連続ダイナミクス,特に人間による不連続制御,をもつ系における相転移である.この問題の理解に寄与するもっとも重要な成果として,以下を挙げる. (i) 生物の意図的な行動を記述するためには,位相空間を拡張する必要があることが示された.特に,レヴィ統計を示す動物の移動を記述する位相変数は粒子加速変数を含まなければならない.そして,人間の意図的な行動をモデル化するためには,系の位相空間に制御変数が含まれなければならない.たとえば,自動車の運転のモデル化に必要な位相空間は,自動車の加速度および躍度(加速度の変化率)を含む4次元でなければならない. (ii) ダイナミカルトラップモデルの新しいクラスが精緻化された.そこには,人間による不連続制御において重要な役割を担うノイズにより誘発される活性化も含まれる.これらのモデルに基づいて,その平衡状態がダイナミカルトラップによって支配される系に,生物に特有な新しいタイプの相転移が現れることが示された.一連の実験により,得られた結果が正しいことが確認された. 2014年度は,人間の認知状態を扱う逆振り子の平衡化における人間の行動の確率的モデル化を発展させた.このモデルによって,ノイズにより誘発される活性化の精緻化された現象論が正しいことが確認できる.さらに,以前実施された色の分類および形状認識の実験に基づいて,不確実性の下での意思決定の普遍的な創発のメカニズムに関する仮説を立てた.
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Research Products
(18 results)