2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540416
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木田 重雄 同志社大学, 高等研究教育機構, 嘱託研究員 (70093234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 雅樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (20550304)
後藤 晋 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40321616)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歳差回転球 / 流れの安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
自転軸と歳差軸が直交する歳差回転球内の定常流の安定/不安定境界の数値シミュレーション解析を昨年度から引き続き行っている。この系の流れの様相を特徴付ける2つの無次元パラメターであるレイノルズ数 Re とポアンカレー数 Po がそれぞれ 1000<Re<5000、0.06<Po<1.4 の範囲が計算精度の限界である。この範囲で安定/不安定境界は極めて複雑でその形を精確に表すためには数百程度の点が必要である。数値シミュレーションで1点を求めるのに要する時間は数週間から数か月という大変大掛かりな計算である上、計算中の点が境界を表すかどうかを前もって知ることができないので、計算には試行錯誤の要素が加わらざるを得ず、実施効率は実際 1/5 程度になっている。それでも、境界の9割以上はほぼ確定しているので、2015年度中に完成させるべく現在も計算を継続している。 数値シミュレーションで精度よく解析できるパラメターの大きさには限界があるので、漸近解析を用いてパラメターが極めて大きい場合 (Po >> 1, Re >>1)の安定性解析を行った。その結果、不安定モードは球面境界層内で歳差軸に垂直な子午面近傍に局在していること、および安定/不安定境界の漸近枝が Po ∝ Re**0.66 で数値シミュレーションのデータと整合していることがわかった。この漸近枝の係数を線形安定性の固有値として求めるべく現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歳差回転球内流れの定常流の安定/不安定境界を系を特徴付ける2つのパラメターの全範囲にわたって確定することが本研究の最大の目的である。標準的な方法に従い、パラメターの値が有限の領域では数値シミュレーションで、またパラメターの値が大きい極限での境界の振る舞いは漸近解析で求める。数値計算は毎日のように京都大学の大型計算機と手元のパソコンで走らしている。計算を進めていくうちに、境界の形が当初予測したよりはるかに複雑であることがわかってきた。これはこの流れが豊かな物理現象を含んでいることを示しているので興味深く研究心をそそられるのであるが、境界の形を確定するのに大変な時間が掛かる結果となった。それでも、現在では境界の9割程度がほぼ確定しており、完成は可能と思われる。他方、漸近解析については、昨年度求めた漸近枝(Re>>1, Po<<1)とは反対方向の漸近枝(Re>>1, Po>>1)の解析を行い、べき関係 Po∝Re**0.66を導出した。現在この比例定数を計算中であるが、これが求まれば、定常流の安定/不安定境界が支配パラメターの全領域で確定し、本研究計画の最大の目的が達成されることになる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、定常流の安定性の数値計算を継続し安定/不安定境界の完成を目指す。また、漸近解析 (Re>>1, Po>>1)も継続し漸近枝を精度よく求め対応する不安定モードの時空間構造を明らかにする。歳差球内流れを拡張した歳差する回転楕円体内の流れの理論解析を行ったので、その結果の吟味と、数値シミュレーションのためのプログラムの作成および実行を進めていく。
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Causes of Carryover |
本研究計画の実施の進行が当初の予定よりやや遅れて、本年度に発表するつもりであった結果の一部が年度内に得られなかった。このため、研究成果発表のための海外および国内の出張旅費を凍結し来年度に回すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果発表のための海外および国内の出張旅費、および研究発表論文の掲載料として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)