2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経ネットワークが創発する集団ダイナミクスのモデリング
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24540418
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
宮川 賢治 福岡大学, 理学部, 教授 (30037296)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ネットワーク / 集団ダイナミクス / 可塑的結合 / 自励振動反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でルテニウム錯体触媒を用いたベル-ゾフ・ジャボチンスキー反応をベースにした自律振動素子を創製した。高い光感受性を利用して各素子の酸化還元反応由来の光強度変化をフィードバックすることによって,素子間の結合様式を変え得る神経ネットワークモデルを構築した。 先ず,振動の位相差に応じて素子間の結合を強めたり,弱めたりするような可塑的結合をデザインした。フィードバック関数に依存して,クラスター状態やカオス状態が現れることを見出した。更に,独立にノイズを印加した100個の振動性素子を,フィードバックを用いて直線的に結合して,結合の対称性が集団ダイナミクスに及ぼす効果を調べた。集団のリズムのゆらぎはシステムサイズだけでなく,結合の対称性に大きく依存することが明らかになった。 最終年度では,時間軸における確率的性質,素子の特性や空間配置のばらつき等の導入が,可塑性結合を持つ興奮性ネットワークの集団ダイナミクスに及ぼす効果を調べた。上述の反応場を用いた実験の指針を与えたるために,オレゴネータを基本にして数値シミュレーションを行った。時間的な揺らぎを加えると,次の効果が見出された。(1)外部揺らぎによって誘起された発火のタイミングの時間的コヒーレンスは,適切なノイズ強度で高められる(コヒーレンス共鳴)(2)その最適ノイズ強度は,拡散結合を持つ興奮性ネットワークに比べて小さい,(3)共鳴の強さは素子間結合数や結合の強さに大きく依存する,(4)高いコヒーレンスの誘起には,素子間結合数は可能な全結合数の5分の1程度で十分である(スモールワールド性),(5) コヒーレンス共鳴と相まって位相同期が誘起される。更に,素子の特性にばらつきを導入すると,これらの効果はより顕著になることが明らかになった
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