2013 Fiscal Year Research-status Report
強相関複雑ネットワーク上のパーコレーション一般論の構築
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24540419
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
谷澤 俊弘 高知工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60311106)
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Keywords | 複雑ネットワーク / パーコレーション / 次数相関 / 頑強性 / 機能的安定性 / 時系列解析 / 協力進化ゲーム |
Research Abstract |
原著論文として,Genki Ichinose, Yuto Tenguishi, and Toshihiro Tanizawa, Physical Review E, Vol. 88, 052808 (2013)を公表した。これは,ノードの連続的な除去と追加等のトポロジー変化を受けるスケール・フリー・ネットワーク上の協力進化ゲームにおいて,もっとも協力戦略を維持するトポロジー変化に関する数値実験報告である。この実験により,協力戦略の維持におけるネットワーク内のハブノードの重要性が明らかになった。また,ノード結合間の次数相関の効果も調べられている。 また,次数相関を持つ複合ネットワーク系の解析的取扱を可能にする一般論構築に関して,International Workshop on Phase Transition, Critical Phenomena and Related Topics in Complex Networks (Sapporo, Japan, Sept 9-11, 2013)において招待講演を行っている。 その他国際会議等で,[1]高専での卒業研究へのネットワーク科学の導入例の紹介(NetSciEd2,Copenhagen, Denmark, Jun 3, 2013)[2] トポロジー変化を伴うスケール・フリー・ネットワーク上での協力進化ゲーム(STCAN2013, Copenhagen, Denmark, Jun 3, 2013),[3] 複雑ネットワークを用いた時系列解析の新手法(NetSci2013, Copenhagen, Denmark, Jun 5-7, 2013) [4] 複雑ネットワークを用いた多自由度時系列解析の新手法(NOLTA2013, Santa Fe, New Mexico, USA, Sept 9-11, 2013などの発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第1年度(平成24年度)の正負双方の次数相関を持つネットワークに関する考察を経て,第2年度(平成25年度)では,複雑ネットワーク複合系を取り扱うことのできる理論的枠組みができ上がり,すでに初歩的な結果が国際会議での招待講演等によって発表されている。また,第1年度の複雑ネットワークを用いた時系列解析の新手法の開発も多自由度データへの拡張が進行中である。さらに,次数相関を含む複雑ネットワーク上での進化ゲームにおける協力戦略の頑強性についての成果も得られ始めた。これは,当初の研究目的を概ね達成しつつ,その研究成果を新たな方向へと発展させるものであり,当初の計画以上に研究は進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究計画は以下の通りである。 (1)第2年度(平成25年度)に得られたネットワーク複合系についての一般理論をさらに精密化し,さまざまな解析結果を導出する。(2) 次数相関を持つ複雑ネットワークの構造および機能安定性についての総合報告をまとめる。(3) 複雑ネットワークを用いた時系列解析手法を多自由度データに応用し,その有効性を確認する。(4) 次数相関を持つネットワーク複合系の構造的安定性が,進化ゲームにおける協力戦略の安定性との関連を明らかにする。(5) 計画終了後の新たな研究計画を立案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 数値シミュレーション環境構築のための計算機整備費用が当初予定よりも低額で押さえられたため。 (2) 研究計画遂行に関する海外研究協力者との打合せのためにボストン大学滞在を予定していたが,その他の研究会等参加時期と校務との兼合いにより,最終年度に回さざるを得なくなったため。 (1) 追加設備の導入により適切に消化する。 (2) 最終年度にボストン大学訪問を行い,研究成果の最終的な取りまとめについての打合せを行う。
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Research Products
(10 results)