2015 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理計算によるスピン軌道相互作用系の電界効果の研究
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24540420
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三宅 隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センター, 主任研究員 (30332638)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / スピン軌道相互作用 / 密度汎関数理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度まで推進していたテルル結晶の電子構造の解析を続けた。結晶構造は3回螺旋軸を六方格子に配置したもので、螺旋軸が右向きか左向きかに依存して空間群はP3_121かP3_221となる。そのため空間反転対称性の破れた系として注目される。スピン軌道相互作用を無視した場合、圧力下で、電子バンド構造がH点近傍にディラック点を有することを昨年度までに報告した。スピン軌道相互作用を考慮すると、圧力下でワイル点が現れ、ワイル半金属相が出現する。これは、空間反転対称性の破れた現実系でのワイル半金属の最初の例である。圧力下で、ワイルノードは、まずH-Kライン上にモノポール・反モノポール対が現れる。圧力上昇とともに、モノポールがH点方向に、反モノポールがK点方向に移動する。前者はやがてH点に到達し、逆方向から来たモノポールとぶつかる。圧力をさらに上げると、H点に反モノポールが、3つのモノポールが3つのH-Aライン上をそれぞれA点方向に移動する。スピンテクスチャーを見ると、低圧ではH点の周りで動径方向にスピンが向く。これは、金属表面での通常のラシュバ系とは明らかに異なる。高圧下では、H点周りのスピンの回転数が1回転から2回転に変化する(H25年度報告ずみ)。この場合でも、H-Lライン上では、対称性によりスピンは動径方向に向く。同様の現象がセレン結晶でも見られるが、常圧でのギャップが大きいため、金属相への転移圧はテルルよりも高い。以上の計算結果を、Phys.Rev.Lett.誌に発表した。
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Research Products
(2 results)