2012 Fiscal Year Research-status Report
極端紫外域強レーザー場における原子や分子の多重電離の研究
Project/Area Number |
24540425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
彦坂 泰正 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00373192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多光子多重電 |
Research Abstract |
本研究は、極端紫外強レーザー場における原子や分子の多光子多重電離過程を明らかにすることを目的としている。本年度は、希ガスの多光子多重電離に対する光電子分光実験を実施した。理化学研究所の極端紫外自由電子レーザーをサンプルガスに集光し、多光子多重電離を引き起こす。光電子分光装置は、磁気ミラー効果を利用した超高効率の光電子分析技術である「磁気ボトル型電子分光技術」を導入した。この分析技術の導入により、短波長の自由電子レーザーを光源とした光電子分光に特有な種々の問題を克服し、多光子多重電離過程についてより詳細な情報を引き出すことが可能となった。特に、この技術による極めて高い検出効率を活かし、自由電子レーザーのショット毎に光電子計測を行った。これにより、自己増幅自発放射モードの自由電子レーザーの宿命であるスペクトルのばらつきを検出することが可能となっている。これにより、レーザーパルスの波長ゆらぎをこれまでのような観測を鈍らせる原因ではなく、レーザー光の波長を掃引する手段として利用できる。この磁気ボトル型光電子分析器を用いた光電子分光をアルゴン原子の3光子吸収による2重イオン化過程に適用した。この過程ではアルゴンの1価イオンの励起状態への共鳴が関与していることが、我々の研究により明らかにされている。今回、この過程をより幅広い波長領域で観測し、異なる共鳴状態の関与を明らかにすることができた。ここでは、中間状態への共鳴に加え、自動イオン化状態への2光子遷移も見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、希ガスの多光子多重電離過程について光電子分光法の利用により、新しい知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実験で得られた実験データの解析を進めるとともに、X線自由電子レーザーを用いたX線強レーザー場での原子分子過程の研究を企画する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(B-A)の額は7千円あまりであり、この研究費を次年度に繰り越して利用する意図は本質的にはない。この研究費は次年度に請求する研究費と合わせて利用し、真空部品や計測回路モジュールの購入を賄う。
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