2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540426
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 豊 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00345076)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 量子光学 / 冷却原子気体 / ボース・アインシュタイン凝縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、量子縮退した冷却イッテルビウム原子を3次元光格子に閉じ込め、光磁気共鳴イメージングと呼ばれる手法を用いて光格子各点の原子に個別にアドレッシングし、その量子状態をコヒーレントに制御する技術を開発すること、さらに超高分解能の結像系を構築し、格子点の個々の原子を直接観測する量子気体顕微鏡を作製することにあった。 本研究ではこれまでに、単一サイトアドレッシングに用いる超挟線幅レーザー光源の開発と周波数安定度の向上、高精度な磁場制御システムなどの開発を行い、3次元光格子中のMott絶縁体をレーザー分光し、光磁気共鳴イメージングで単一レイヤー分解能を得ることに成功した。また、その周波数スペクトルから原子の超流動-Mott絶縁体転移に伴う励起エネルギーの離散化を分光学的に観測することに成功した。 最終年度に当たる平成26年度は、量子気体顕微鏡の実現のため、長周期の光格子を顕微鏡の光軸方向に設置し、磁場勾配による光磁気共鳴イメージングによってその層を一層ずつ分解することに成功した。これによって量子気体顕微鏡で2次元光格子中の原子を観測することが可能となる。また、蛍光観測時の自然放出による加熱を低減するために、挟線幅遷移でレーザー冷却を同時に行い、単一原子蛍光を検出するのに十分な時間、原子を光格子中に捕獲できるようになった。さらに、顕微鏡の対物レンズの微調整やモラセス光のパラメータ最適化、実験データから単一原子を認識するための解析プログラムの準備を行い、2次元光格子中の単一原子と思われる非常に局所的な位置(~200nm程度)から発せられる蛍光信号を高いS/N比で検出することに成功した。
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