2013 Fiscal Year Research-status Report
マウス骨格筋内分子ナノイメージングによる生命機能と階層性の関わりの解明
Project/Area Number |
24540430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅 元司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00422098)
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Keywords | 生物物理 |
Research Abstract |
昨年度は,マウス骨格筋内での標的タンパク質の発現には成功したが,その発現効率は極めて低く,研究の進行がやや送れていた.今年度,エレクトロポレーションによる遺伝子導入を試みたところ,発現効率は飛躍的に向上した.しかしながら,発現レベルの度合いには個体間で大きくばらつきがあった.そこで,安定して高い発現レベルを実現する可能性のある3週齢の若いマウスに対して,エレクトロポレーションによる遺伝子導入を試みた.3週齢マウスは導入したタンパク質が発現してくる1週間後には体重が倍になり,筋肉もほぼ2倍のサイズになる.そのため,アダルトマウスに比べて筋肉内でのタンパク質の発現が著しく,標的タンパク質の発現レベルも非常に安定して高いことが判明した.そこで今後は,3週齢マウスに対して遺伝子導入を行うことを決定した. 本研究の目的達成のためには,ビオチン化されたトロポモジュリンを筋肉内で発現させ,アビジン化量子ドットを修飾させる必要がある.しかし,トロポモジュリンは各アクチン線維の先端のみに局所的に分布するため,発現したトロポモジュリンがビオチン化されているのか?また,ここにアビジン化量子ドットが結合しているのかを把握することは極めて難しい.そこで,サルコメア両端に位置するZ帯に大量に局在するαアクチニンをビオチン化させ,かつGFPを融合させたタンパク質を発現させて,ビオチン化が筋肉内で施されているのか確認した.αアクチンが発現した後,筋肉を固定してピンセットで筋線維を取り出して,アビジン化量子ドットを反応させたところ,GFPで光るαアクチニン局在位置に,量子ドットが選択的に結合していることが確認できた.従って,マウスでのビオチン化タンパク質の発現が可能であることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,マウス骨格筋内での発現系の確立が大幅に進んた.エレクトロポレーションによる遺伝子導入方法,さらに3週齢マウスを使うことにより発現レベルが個体間に差が出ることなく安定した.昨年度とは雲泥の違いと言っても過言ではない. また量子ドットの導入方法についても,高圧ジェットで導入する機器を使うことで,これまで以上により多くの量子ドットが筋表面のコラーゲン膜をとお降り抜けて,深部まで到達していることが確認された.こうしたタンパク質発現方法と量子ドット導入法が確立してきたことにより,最終的な目的であるトロポモジュリンへの量子ドット標識が現実化してきたように思う.
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の発現およびビオチン化は確認されたが,今後は生体内で量子ドットを如何に選択的に,ビオチン化された箇所に標識させることが出来るのか検討する必要性がある.生体内に導入した量子ドットが,非特異結合することなくビオチン化サイトに結合する保証はない.そこで,非特異結合がある上でも,ビオチン化サイトに結合した量子ドットの位置検出が可能であるのか検討していく.また,非特異結合を低減する方法についても検討をしていく. 収縮中のアクチン線維の伸長を測る場合,はじめは実験系をシンプルにする意味で,筋肉単体を取り出した系で計測を行う方法が好ましい.そのため,顕微鏡上に装着可能な実験チャンバーの開発も行う予定である.さらに現在進行中の電動ステージフィードバックシステムと合わせて計測システムも開発していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
17円の次年度使用額ゆえ,ほぼ満額使用したと考えている. 額が少額すぎるゆえ,次年度使用する計画は特にない.
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Research Products
(2 results)