2014 Fiscal Year Annual Research Report
マウス骨格筋内分子ナノイメージングによる生命機能と階層性の関わりの解明
Project/Area Number |
24540430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅 元司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00422098)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,筋肉サルコメア構造内のアクチンフィラメント1本の動態を直接とらえる実験系を構築し,ミオシン分子から筋細胞(筋繊維)へと階層を超えた機能発現について論じていく. サルコメア内のアクチン1本を可視化するため,アクチンの先端に局在するトロポモジュリンに着目し,GFPとの融合タンパク質をマウス骨格筋内にエレクトロポレーションにより発現させることに成功した.しかしこの蛍光像からアクチン1本の動態を把握することは不可能であった. 一方で,筋収縮に伴い標的タンパク質が顕微鏡視野外に移動することをさけるために,リアルタイムフィードバック制御を用いた電動ステージシステムを構築した.これにより視野XY平面での標的物の追尾は可能になったが,収縮に伴う奥行き方向のフォーカスずれが判明し,これは今後の課題となった. さらに理論モデルから,筋の長さを一定に保った収縮(等尺性収縮)であっても,アクチン1本レベルでは振動している可能性が示唆された.これは,ミオシン分子間の力発生が同期してくる協同性によって起こると予想され,アクチン1本の動態を実験的に調べることの重要性が示唆された. 本研究期間内では,アクチン1本を蛍光標識し,その蛍光輝点位置を追従し,アクチン1本の動態を捉えるまでには至らなかった.しかし,その礎となる実験系が構築できたこと,またシミュレーションモデルにより,ミオシン分子間の協同性を理解するうえでも極めて重要な実験であることが示せたことは大きい.今後は,この実験系を礎にして,ビオチン化トロポモジュリンを発現させ,アビジン化量子ドットを投入して,アクチン1本の先端を蛍光標識していく.こうした研究から,分子,分子集合体,そして細胞の機能といった階層を超えた機能発現に対する新しい概念を捻出できると考えており,生命機能の理解としても大いに貢献できる研究になっていくと期待している.
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Research Products
(3 results)