2013 Fiscal Year Research-status Report
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24540437
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
浦上 直人 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (50314795)
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Keywords | 生体分子 / 自己組織化 / 分子認識 / モデル化 / 計算物理 |
Research Abstract |
生体内におけるゲスト分子による秩序構造の形成と変化を解明するため、1) ゲスト分子による秩序構造変化、および2) 分子認識による秩序構造形成と変化に関して継続して研究を行った。 1)ゲスト分子による秩序構造変化 1-1) 「高分子鎖による油中水滴型ドロップレットの形状変化」高分子鎖による油中水滴型ドロップレットの形状変化につて、分子動力学シミュレーションを行うことで調べた。その結果、これまで再現できなかった紐状ドロップレットや枝分れを持った形状を再現した。そして、ドロップレット内の高分子鎖の割合が増加するにともない、界面活性剤膜表面に高分子鎖が吸着することが分かった。これにより、より多くの高分子鎖が界面活性剤と相互作用するために、ドロップレットの曲率が大きい形状に変化することが明らかになった。 1-2) 「ゲスト分子によるベシクルの形状変化」ゲスト分子を持たないベシクルの形状変化については、実験で観察されている多くのベシクルの形状変化を、散逸動力学シミュレーションにより再現した。そこで次のステップであるゲスト分子によるベシクルの形状変化に関するシミュレーションを開始した。ベシクル内に高分子鎖を入れ、高分子鎖が2分子膜に侵入することによるベシクルの形状変化を調べるいる。今後はより詳細に研究を進めて行く必要がある。 2) 「分子認識による秩序構造形成・変化」修飾シクロデキストリンに関して、自己包接、相互包接をシミュレーションで再現することを目指し、構築した修飾CDモデルの妥当性を検証することを目的に研究を進めている。自己包接、相互包接に関してはシミュレーションにより再現することができ、引き続きモデルの妥当性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、今年度の最大の目的であった高分子鎖による油中水滴型ドロップレットが形状変化するメカニズムを明らかにするこができたことが挙げられる。また、ゲスト分子によるベシクルの形状変化に関するシミュレーションを開始することができ、今後、研究を進めるにあたり大きな前進であると言える。分子認識による秩序形成・変化については、少し難航している部分もあるが、研究全体としては順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. ゲスト分子による秩序構造変化 「ゲスト分子によるベシクルの形状変化」に関するシミュレーション-ゲスト分子を持たないベシクルの形状変化に関するシミュレーションにおいて、実験で観察されている様々なベシクルの形状を観察することができた。そのため、次のステップとして、これまでのシミュレーションで得られた知見をもとに、ゲスト分子によって誘起されるベシクルの形状変化を調べる。これに加え、ゲスト分子によって引き起こされるベシクルの分裂を再現することを目指す。そして、細胞分裂過程を理解する上で必要となる基礎的研究を行う。 2. 分子認識による秩序構造形成・変化シミュレーション-「修飾シクロデキストリンのモデル構築」に関するシミュレーション今後も研究を引き続き行い、分子認識機構の要因の特定を行う。現在、自己包接・相互包接に関してはシミュレーションで再現することができており、モデルの検証を行う。また、今年度は、これまで研究を進めて来た油中水滴型ドロップレットとシクロデキストリンを混合した系のシミュレーションを開始する。シクロデキストリンが界面活性剤と包接化合物を形成することにより、ドロップレットの形状変化が期待できる。これにより、「ゲスト分子による秩序構造変化」と「分子認識による秩序構造変化」を融合した研究を進めることができると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に、研究の研究協力者と共に、情報収集を目的として学会への参加を予定していたが、別の学会で目的とする情報を収集することができたので、参加を取りやめた。また、データ整理や計算機のメンテナンス用に謝金を考えていたが、自分自身でデータ整理と計算機のメンテナンスを行ったため、次年度使用額が生じた。 現在予備的にシミュレーションを行っている研究を本格的に開始する予定であり、計算用のコンピュータが必要である。そのため、次年度使用額は計算用コンピュータの購入費用にあてる。当初計画していたよりも高性能なコンピュータを購入し、研究をより効率的に進める予定である。
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Research Products
(4 results)