2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24540439
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
好村 滋行 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (90234715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 和彦 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, その他 (60344115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体膜 / 膜タンパク質 / ブラウン運動 / 異常拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多成分生体膜における動的な不均一構造の物理的起源を調べることを目的としている。平成27年度には、主に脂質二重膜のバディングについての研究を行った。細胞はバディング(出芽)によって分裂や増殖をするため、その物理化学的なメカニズムを解明することは重要である。我々は二成分の脂質二重膜を考え、膜内のドメインによって誘起されるバディングのモデルを提唱した。バディングを記述するエネルギーとして、(i)ドメインの曲率弾性エネルギー(曲げ剛性率に比例)、(ii)ドメインの境界で働く線エネルギー(線張力に比例)、(iii)二重膜の相分離エネルギーの三つの寄与を考慮した。また、重要な仮定として、それぞれの単層膜の自発曲率は、二種類の脂質分子の濃度差に対して線形的に依存するとした。ドメインの形状としては、平坦、不完全バディング、完全バディングの三状態を想定した。全自由エネルギーをドメインの曲率(球面の一部と仮定)について最小化し、最終的には共通接線法によって、換算温度と平均濃度を変数とする相図を作成した。いくつかのパラメータについて相図を計算した結果、二枚の単層膜間の濃度の非対称性によってバディングが誘起されることがわかった。また、あるパラメータ範囲では、一次転移と二次転移が連続的につながる三重臨界点や、三重点の存在が予測される。 これ以外にも、積層脂質膜における相分離の連動性のシミュレーションを行い、膜間の相互作用が非常に弱い極限であっても、ドメイン間に強い相関が生まれることを示した。
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