2014 Fiscal Year Research-status Report
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24540441
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高野 宏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90154806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萩田 克美 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 講師 (80305961)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非線状高分子 / 粗視化高分子模型 / シミュレーション / 緩和モード解析 / 緩和モード / 緩和率 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.孤立星型高分子に対し、排除体積相互作用を取り入れ、流体力学的相互作用を無視した分子動力学シミュレーションを行い、排除体積が無い場合の緩和モードの自己相関関数を計算し、その長時間挙動から緩和率を評価した。星型高分子の構造は、中心での分岐数と、各枝の長さというパラメターで特徴付けられる。中心のセグメントの大きさを一定にし、枝の交換が阻害されない分岐数迄で解析を行ったところ、枝の交換に対して符号を変る反対称モードの一番遅い緩和率が、枝の位置の交換に対応する緩和率のスケーリング則と良く一致した。 2.2つの環状高分子が絡み目を作っている系に対し、1と同様のブラウン動力学シミュレーションを行い、形が既知の緩和モードの自己相関関数を計算し、その長時間挙動から緩和率を評価した。最も遅い緩和モードは2つの環の重心間ベクトルで、その緩和時間のセグメント数依存性の指数は孤立線状高分子の通常の指数より大きかった。これは慣性半径のセグメント数依存性の指数が、絡まり合い部分を局所化するために、通常の指数より大きいことに対応していた。 3.線状高分子溶融体に少量の環状高分子を含む系を扱い、大規模並列計算として空間方向にアンサンブルを増やした計算を実施し、出力される大容量データの処理を行った。少量の環状高分子の割合をゼロから2%程度まで増やし、線状高分子と環状高分子のそれぞれについて、緩和モード・緩和率の評価を行った。成分数の少ない環状高分子については、対称性から予想されるモードで緩和挙動を評価した。評価した最小緩和率は、線状高分子と環状高分子ともに、環状高分子の濃度の増加に応じて遅くなっていた。 4.非線状高分子溶融体への応用を目指し、緩和モード解析を用いて高分子溶融体の線形粘弾性を効率的に評価する方法を開発し、線状高分子溶融体へ適用し有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度解決しなかった孤立星型高分子の緩和率が理論的予想と異なっていた問題を、星型高分子の枝の数を制限してシミュレーションを行うことにより、解決することができた。 昨年度から取り組んだ、絡み合った2本の環状高分子について、緩和時間のセグメント数依存性の異常とその原因を明らかにすることができた。 昨年度迄に、連結行列や主成分分析、短時刻の緩和モード解析等を用いて仮の緩和モードを作り、遅い緩和モード・緩和率を評価する枠組みを整備した。そして、非線状高分子の溶融体や、線状高分子溶融体中の少数の非線状高分子鎖の挙動をシミュレーションするために、大規模並列環境でのLAMMPSを用いた並列計算と効率的な分散データ記録など、緩和モード解析のための枠組みを整備した。今年度は、これらの枠組みを用い、実際に線状高分子溶融体に少量の環状高分子を含む系を扱い、大規模計算と大規模データの解析を実施した。線状高分子については仮の緩和モードを用いた緩和モード解析で、少量の環状高分子については対称性から予想されるモードで緩和挙動を評価した。 今年度、非線状高分子溶融体の線形粘弾性を効率良く評価する枠組みを整備した。 当初の研究計画からは遅れた面もあるが、上記のように、新しい孤立非線状高分子の解析も進み、大規模シミュレーションの実施例も作ることができ、研究目的に対する達成度としては、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の研究計画からは遅れた面もあるが、研究計画で扱う予定であった系を調べていく。ヘテロな形状をもつ孤立非線状高分子、絡み目をもつ2つの環状高分子の系についても研究を進める。線状高分子と非線状高分子の混合溶融体、非線状高分子溶融体のについても研究を進めるが、今年度の計算でわかったとおり、多大な計算資源を必要とすることから、扱う系をどのように選ぶか慎重に検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、直接経費を計算サーバー関連の消耗品費、平成24年度に出版した論文のオープンアクセス化の費用にあてたが、僅かに残額が生じてしまった。研究分担者は、直接経費を旅費、その他に支出したが、物品の購入を見送ったために、約10万円の残額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、交付申請書のとおり、物品費、旅費、その他に直接経費を使用する予定であるが、当該助成金をその費用の一部にあてる予定である。
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