2012 Fiscal Year Research-status Report
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24540443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
横島 智 東京薬科大学, 薬学部, 准教授 (00532863)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アミロイドβ / ランジュバン動力学法 / 分子動力学法 / フラグメント分子軌道法 / 光合成 / 励起状態 |
Research Abstract |
アミロイドβについて手始めとしてモノマーの局所安定構造の候補構造を作るプログラムを作成し、それを元にどのような構造が安定か解析した。結果として、初期に想定した候補構造は全て部分的に変化し、初期構造近傍の構造に安定化した。この結果は、想定していたように局所安定構造が多数存在することを示すとともに、初期に想定した候補構造があまり良いものでは無いことも示していた。初期に作成した候補構造は水素結合を指標として作られていたが、安定化された構造を解析してみると、水素結合だけでなく疎水性相互作用による安定化が重要であることがわかった。 他方、酸素発生中心の解析を可能にするためFMO法の開発も進めた。点電荷近似を使った計算法の開発により、計算速度を向上させ、より大きな分子への適用を可能にした。酸素発生中心周辺の環境はヘテロであることから、FMO法をより大規模な系に適用できるようにすることは酸素発生中心で起きていることを明らかにするために重要である。 また、ポリマー中のジアリールエテンの励起状態の解析ではジアリールエテンの励起状態における3重項状態の影響について調べ、分子の異性体の構造に依存して閉環反応への3重項状態への寄与が変化することを明らかにした。この解析にはポリマーの影響は含まれていないが、ポリマーがある場合の解析に、3重項状態の影響を考慮すべきであることが分かった点が重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度初期構造の作成が主題であったが、アミロイドβについては初期構造作成の指針としていた水素結合だけでなく、疎水性相互作用が大事であったため、現在得られている結果の詳細な解析の上、初期構造の作成指針の中に、疎水性相互作用に対するものも含めなければならなくなった。ただ、ピンポイントで構造を決められる水素結合に比べ、疎水性相互作用は広がりを持つため、指針の決定が難しい。 酸素発生中心やポリマー中のジアリールエテンの励起状態については後の年度に行うはずだった研究がはやく進んだため、これらの研究を優先した。結果として、研究順序が逆転してしまった形になっている。これらについては論文作成中、および投稿中であり、それらを終了させて、初期構造の作成に戻ることにした。
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Strategy for Future Research Activity |
アミロイドβについては疎水性相互作用の影響も考慮した初期構造の作成のための指針を決定し、モノマーだけでなくダイマー、トライマーなどの系に適用していく。 研究順が前後する形になった酸素発生中心とポリマー中のジアリールエテンについては、今後、アミロイドβでの初期構造作成のプログラムの一部を流用して効率的に初期構造を作成し、ランジュバン動力学へと進む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に学会などでの発表のための費用、および、論文投稿のための英文校正費用や投稿料のために使用する予定である。
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Research Products
(1 results)