2013 Fiscal Year Research-status Report
稠密地震観測データの地震波干渉法解析による地殻構造の高分解能イメージング手法開発
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24540451
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藏下 英司 東京大学, 地震研究所, 助教 (00302620)
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Keywords | 地震波干渉法 / 地殻構造 / 稠密地震観測データ |
Research Abstract |
日本列島の形成過程を明らかにする為には,地殻構造を高分解能で把握する事が重要である.地震波干渉法解析を用いて作成した合成波形データや制御震源波形データに対して反射法解析を適応する場合,解析対象地域下の地震波速度構造を精度よく把握することが,得られるイメージングの質の向上の為に必要である.また,観測される自然地震の波形は,震源と観測点の間で方位角依存性があり,観測点毎に異なる.自然地震波形データを用いた地殻構造のイメージングを行う場合,このような違いを補正することが,得られるイメージングの質の向上に必要不可欠である.平成25年度は,自然地震データに対する高精度の振幅補正手法の開発を開始するとともに,歪集中帯に構築された稠密地震観測網で観測されている深発地震データに対して地震波干渉法解析を適応し,全ての観測点位置を仮想発震点・仮想受振点とする稠密合成波形データを作成した後,平成24年度に得た歪集中帯の地震波速度構造を用いて反射法解析を実施した.また,平成24年度に東北地方南東部で実施された稠密地震観測「相馬―米沢測線」で取得された地震観測データに対して地震波トモグラフィー解析を適応し,深さ60-70kmまでの地震波速度構造を得た.「相馬―米沢測線」で観測されている深発地震データに対して地震波干渉法解析を適応し,全ての観測点位置を仮想発震点・仮想受振点とする稠密合成波形データを作成した後,得られた地震波速度構造を用いて反射法解析を実施した.特に「相馬―米沢測線」で得られた反射法断面図からは,特徴的な反射イベントが確認でき,深さ25-30km付近の反射イベントは,測線中央部(福島盆地下)で浅くなる特徴を示していた.この反射イベントは,Moho面と解釈することができ,測線中央部は中絶リフト帯に位置していることから,リフト帯における地殻の薄化を示していると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歪集中帯に加え,東北地方南東部で取得された深発地震データに対して地震波干渉法解析を適応し,全ての観測点位置を仮想発震点・仮想受振点とする稠密合成波形データを作成した.これら稠密合成波形データに対して,地震波トモグラフィー解析によって得られた地震波速度構造を用いた反射法解析を行うことで地殻構造のイメージングが得られつつある.また,自然地震データに対する高精度の振幅補正手法の開発も進めており,概ね予定通り進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
自然地震の観測波形に対して,震源と観測点の位置関係・各地震のメカニズム解に基づいて評価し,それらによる影響を取り除く高精度振幅補正手法の開発を引き続き行う.このような高精度振幅補正を施した自然地震波形データに地震波干渉法解析を適応し,全ての観測点位置を仮想発震点・仮想受振点とする稠密合成波形データを作成する.このようにして得た稠密合成波形データに,トモグラフィー解析で得た測線下の地震波速度構造を用いた重合前深度マイグレーション法を適応し,地殻・最上部マントルを高分解能で明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果を国際学会で発表する為の旅費として使用する予定であったが,学会予稿の締切り日時点では,国際学会で発表し,国外の地震波干渉法解析の専門家と議論するには十分な結果を得ていないと判断し,本研究課題による発表を見送った為に生じた. 解析を進めたことにより,国際学会で発表するのに十分な研究成果を得ることができたので,翌年度分の助成金と合わせて,研究成果の発表や地震波干渉法解析の研究に関する最新の情報収集を目的として国際学会等に参加する際の旅費として使用する.
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