2014 Fiscal Year Annual Research Report
地震計アレイ観測による新燃岳の火山性微動時空間変動の研究
Project/Area Number |
24540457
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221593)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 火山性微動 / 地震計アレイ / 新燃岳 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011 年1 月から活発な噴火活動を継続している霧島・新燃岳では火山性微動活動が観測されている.本研究では現在再び活動が活発化すると考えられているこの火山において,噴火の直前から噴火にかけての微動の時空間的推移を得ることによって,火道内部のマグマの挙動について明らかにし,噴火に至る物理プロセスを描くための足掛かりとすることを目的とした. 本研究で用いたデータは新燃岳近傍に設置した、2箇所の地震計アレイデータおよび周辺の地震観測網データである。2011 年2 月に発生した微動データを詳細に調べ、微動の到来方向とスローネスの時間変化を調べた.その結果,微動の大部分は新燃岳火口を発生源と推定され,比較的長い継続時間を持っていた.また,火口浅部に発生源が推定された実体波と思われる微動も存在した.さらに,短い継続時間ではあるが火口から北西に約3km 離れた大浪池周辺にも微動源が推定された.この微動源は地殻変動から推定されている圧力源の方向に近い.さらに、周辺の地震観測網で得られた微動振幅の空間分布から微動源の放射特性を推定できる点に注目した.観測された振幅には震源の特性(規模と放射特性),サイト増幅特性,減衰の影響が入っている.ここでは相対的な振幅を議論することで震源エネルギーの大きさ、サイト増幅特性を除き、微動の発生メカニズムとして1 つのtensile crack を仮定し,その放射特性と比較した.その結果、少なくとも2 カ所の微動源でクラックの向きや傾斜が違い,火道の形の変化やマグマの振る舞いの空間変化の可能性が示唆された.本研究では,複数アレイ観測データの解析により火山性微動の詳細な時空間変化を検出し,広範囲に分布した周辺の観測点のデータと合わせることでマグマの存在位置や状態の変化を知ることができることを明らかにした.
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